Q.
Nさんは、美容関連のサロンをしている。同じ仕事を始めた仲間とは本当に仲が良く、何かあると励まし合ったり、啓発し合ったりして、密な交流をしていた。ところが、時が経つにつれ、それぞれのめざす方向が変わってきたり、各自のサロン運営の事情に違いが出てきたりしているせいか、交流は途絶えがちになってしまった。皆が自分のことに必死で、バラバラになってしまったように、Nさんは感じている。Nさん自身も仕事で苦戦してはいるが、仲間の中では古株で、世話役のような立場も兼ねていたので、この状況はとても寂しく辛い。そんな時、Nさんにエールを送ってくれる人が現れた。Nさんがサロンを始めた当初から取引のあった会社の人(Tさん)である。その人は、入社して2年に満たないのに、顔を合わせる度に、Nさんの苦労をよく知った上で、建設的なビジョンを語ってくれる。新しい風が吹いてきたようだ。Nさんは、これを機に、行き詰っていたサロン運営の転機になればいいと思うが、どうだろうか。
K・Nさん 50代 東京
A.
(1)
現状 |
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①現状は「愚者」である。カードを見るなり、Nさんの心は弾んだ。今の心境を言い当てたような「愚者」を見て、Nさんは「やはり新しい風が吹き始めたのだわ」と、納得した。Tさんが在籍する会社との取引は長かったが、その会社の経営方針が変わったり、Nさんのサロン担当者が変わるごとに、交流は親密だったり疎遠だったりしてきた。今の担当者Tさんは、非常に友好的である。思慮深いTさんとの会話は楽しく、協力して発展していこうと思えるような助言をくれる。Nさんは、愚者は今の自分であると見たが、新しい風を運んできてくれたTさんのようでもあると思った。
(2)
経緯 |
現状 |
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②経緯は「世界」Rが出た。Nさんは、同じ仕事仲間との関係が、よくあらわれていると思った。皆、勉強熱心で、しょっちゅうやり取りしていたが、実際に自宅の一部や小さなテナントを借りて仕事を始めたら、進捗状況にずいぶん差が出てきた。そして、交流も途絶えがちに・・・。きっと誰もが必死で、それぞれが自分に合った世界を作ろうとしている最中なのだろう。カードが逆向きなのは、皆、自分の世界を作るのに忙しすぎて、かつてのように仲間を気遣う余裕がないことを示唆しているのかもしれない。
(3)
③展望は「仕事師」。カードからは、はつらつと仕事をする自分の姿が浮かび上がる。Tさんとのやり取りから、Nさんは、今までとは違うスタイルの仕事が始まるように感じている。仕事で新しい世界が開けてくれば、これまでの鬱々とした気持ちは消え、人間関係も広がっていくと思えた。仲間を見る目も、変わるに違いない。もともと仕事好きなNさんは、これからが本当に楽しみになった。
(4)
④「世界」Rの対策カードは「宙吊り」となった。Nさんは、仲間への複雑な思いをいったん脇に置いて、冷静に事態を見ることが、自分には必要だと思った。行き詰って辛くなると、どうしても、感情を絡めて考えがちになる。ずっと仲の良かった仲間だからこそ、仕事のことでは、個人的な気持ちを冷ますことが大切なのだろう。
アドバイスカードは「審判」。Nさんは、地下から姿を現した空色の人物に注目した。これを機に、狭い世界で鬱々とするのはやめようと、吹っ切れた。もっと広い世界を知れば、自分の世界観も人間観もずっと大きくなり、些細なことに、とらわれなくなるに違いない。何をするにも、もっと大きなおおらかな心、大きな視野を持ちたいと思った
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