Q
Tさんは、現在、障害者介護の施設で仕事をしている。前職は、老人介護施設であった。障害者の介護施設は、自分に合っていると思っての転職であったが、現実は、想像していたのと大違いで、どうしても仕事に馴染むことができなかった。勤め始めて半年ほど経ったころから、再転職を考えるようになり、一年経った今は、もうこれ以上は無理と、思い詰めている。同僚と助け合ったり、上司に相談したりする環境が、職場になかったことも、大きい。心身がぼろぼろのTさんは、とにかく、今の仕事に一区切りをつけたい、次に探すとしたら、やはり経験のある老人介護の施設がいいと思っている。この判断でよいだろうか?Tさんは、タロットの助言を仰ぐことにした。
Y・Tさん 40代 東京
A
(1)現状
現状 |
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①現状は「皇帝」Rが出た。Tさんは、今の自分であると思った。今の職場で仕事をすることに限界を感じているTさんは、とにかく仕事に身が入らない。心が職場を拒絶しているので、本来の行動力ある皇帝のように、さっと立ち上がって業務を遂行することができないでいる。
(2)経緯
経緯 |
現状 |
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②経緯は「世界」Rである。Tさんには、中央の人物が、周囲の人たちに理解されず、孤立しているように見える。まさに、職場の同僚とうまくいかず、孤立感を感じてきた自分の姿である。慣れない仕事でも、同僚と連係し、チームとして臨めていたら、ここまで苦しくならなかったかもしれない。仕事に馴染めなかったのは、仕事の中身そのものというより、よき人間関係が築けなかったためかもしれない。そのために、どうにもならないところまで自分を追い詰めてしまったように思った。
(3)展望
③展望も「節制」Rで、このままでは、仕事そのものに支障が出かねない。障害者が必要とする手を差し伸べる救済者の立場なのに、自分の苦しさのために業務にも集中することができなくなってしまいそうだ。基本カードがすべて逆向きであるのを見たTさんは、この状態は本当に問題だと思った。
(4)
④「皇帝」Rの対策カードは「宙吊り」。カードは、Tさんが感じていた通り、一度立ち止まることを勧めている。「少し休むなりして、くたくたで余裕のなくなった心身を、まず充電しなさい。今は、自分を取り戻すことが、何よりも大切です」と語りかけてくれるよだ。Tさんは、自分を理解してもらえたように思い、ほっとできた。
(5)
⑤「世界」Rの対策カードは「教皇」が出た。「ぜひ職場の上司に相談を」と言いたいところだが、Tさんは上司との信頼関係が築けていないので、とても相談はできないとのこと。ハローワークの相談員や介護の資格を取るために通った学校の先生などの中で、思い当たる方がいらっしゃれば、その方に相談してみてはどうか。一人で抱え込むより、ずっとよい対策が見つかるに違いない。カードにヒントをもらったTさんも、そうするつもりでいる。
(6)
⑥「節制」Rの注目カード「神の家」Rは、今の職場の介護施設を辞め、出ていくときの自分の姿のように見える。今の職場がつらくて辞めようとしているTさんの心の中には、職場に対しての不満や不信感が渦巻いている。そんな否定的な思いを抱えたまま出ていくのは、職場に失礼であるが、きっと自分自身にとってもよくないことに違いない。
(7)
⑦「節制」Rの対策カードは「正義」である。正義の女神は、どんな事態からも目を逸らすことなく直面して、適正な判断を下している。それができるのは、判断を狂わせる感情や思い込みと無縁だからだ。Tさんにも、「感情を冷ましなさい。どんなに苦しく不満があっても、振り回されているうちは、よい判断はできません」と諭しているかのようだ。Tさんは、心穏やかではないが、言われていることはわかる気がした。
(8)
経緯 |
現状 |
展望 |
(6) |
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(5) |
(4) |
(7) |
(8) |
⑧「神の家」Rの対策カード「月」から、Tさんが、最初に注目したのは、2つの建物である。「神の家」Rと建物で親縁し、対策カードに2つの建物があるので、別の施設を転職先のとして考えてもよいことがわかる。Tさんは自分の判断の賛同を得たように感じ、安心した。気持ちが落ち着くにつれて、転職先のビジョンも見えてくるだろう。
アドバイスカードは「星」である。ひざまずく女性の姿からは、奉仕の精神に溢れて尽くす介護者の姿が浮かび上がる。これが、Tさんに求められる最も必要な姿勢である。介護の現場は心身ともに大変なことが多いが、もともと自分が望んで選んだ仕事である。心身を休め落ち着いたら、もう一度、原点の「人の役に立つこと、尽くす喜び」に立ち返り、それから転職活動を始めようと心を新たにした。
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