Q.Nさんは、現在、ボディワークの個人セッションをしている。といっても、主婦業の傍ら、予約を入れてくださったクライアントさんにするだけなので、クライアントさんの人数も時間も本当に少ない。クライアントさんを前にすればやり甲斐を感じるが、パッとしないこの現状をどうしたものかと、悶々としている。いっそのことやめて、以前のように普通の仕事でパートを探そうか、いやいや、長い時間をかけて修得してきたのだから、もう少し発展のための努力をすべきだろうか。あれこれ考えるが、定まらない。この状況を整理するためにタロットを展開することにした。
A・Nさん 40代 東京
A.(1)
現状 |
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「神の家」Rのカードで、Nさんの注目を引いたのは、建物の前で逆立ちしている人物であった。逆立ちのポースがきちんと決まらない、逆立ちしようとするけれど、グラついて定まらない不安定さが伝わってくる。Nさんには、これが今の自分だとわかる。ボディワークの勉強に1年、その後の実践修行に1年半かけてやっと資格を取得し、仕事にして1年も経つのに、「よし、これをやっていこう。」と積極的になれないでいる。逆立ちの練習をさんざんし、先生からの励ましも受けているのに、うまくできないために自信が持てない生徒のようだ。
(2)
経緯 |
現状 |
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経緯の「悪魔」Rを見たとき、Nさんは悪魔を見上げる小悪魔が自分であると思った。Nさんが教えを受けた先生は大変な努力家で、技は研ぎ澄まされ、学問的探求も深く、まさに尊敬に値する先生であった。素晴らしい先生と思ったからこそ、夢中で学び、実践修行も必死に取り組んできた。先生も、「君たちもやればできる。」とおっしゃってくださった。先生の言葉は嬉しかったが、心のどこかに、「とても先生のようにはできない。どんなに頑張ってもできっこない。」という思いがあったのも事実。先生の素晴らしさと自分の未熟さのギャップを強く感じるあまり、自分で身動きできなくしていたことに気づく。
(3)
展望の「戦車」の若者はNさんである。若者がエネルギッシュな馬をうまく操っているように、Nさんは、自分の人生を自分の意図した通りに展開していけるだろう。馬車の上からは、広範囲を見通すことができる。広い視野・長期的スパンで人生設計をすれば、自信を持って自分の道が進める。
(4)
「神の家」Rの対策カードは「愚者」が出た。「愚者」はのんびりと、一歩一歩踏みしめているが、目は自分のめざすゴールをしっかり見つめている。Nさんは「愚者」の目を見て、ハッとする。今、すべきことは、ボディワークを続けるか辞めるかといった目先の対応ではなく、「愚者」のように、もう一度原点を見つめることだと気づいた。自分のゴールはどこにあるか、ボディワークをすることで、自分は何を目指しているのか、といった最も本質的な部分を自分の中ではっきりさせないと、心が決まらないし、行動もあいまいになってしまう。まず、この部分に向き合うことが先決なのだ。
(5)
「愚者」の注目カードは「恋人」。ちょうど、「愚者」の視線の先に天使がいる。裸の天使は天上界からの使者。Nさんは、このカードから、天使が携えてきたメッセージ、つまり自分の心の中に働きかける直観に耳を傾けることが大切だと思った。こうすることで、はじめて自分の進む道が明確になり、迷いのない選択ができる。
(6)
「悪魔」の対策カード「審判」でも、Nさんが一番気になるのは天使の存在。天使の声に耳を傾けなさいと言われているようだ。これからどうするのがベストなのか、その答えは自分の心の深部にささやきかける天使の声を聞き取ることで得られると思った。かすかなこの真の声は、心がざわついていると聞き取れない。心の耳を澄ませて、意識を天に向ける必要がある。
アドバイスカードは現状と同じ「神の家」である。今、Nさんが直面すべきことは、「神の家」のように、確固たる信念を持ってこれから築きあげたいと思えるものを自分の中で見つけることだ。心の中に設計図が出来上がれば、意欲も出て来るに違いない。主婦業との両立もうまくいくだろう。目前のことをこなすことでなんとなく日々を過ごしてきたNさんは、これを機に、大局的観点から今後のあり方を考え直すことにした。
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