Q.Sさんは、馬にマッサージやセラピーを施す仕事をしている。とはいっても、この仕事は馬が生活に溶け込んでいる諸外国では専門職として確立しているが、日本ではまだまだで、Sさんは懇意にしている牧場に頼み込んで、マッサージを許可してもらっている状況である。経済的には見合わないが、馬が大好きなSさんはチャンスがもらえるだけで喜びを感じる。第一子の妊娠・出産で遠ざかっていたが、一年ぶりにそのチャンスがやってきた。意外にもすんなり決まったことで、嬉しさと緊張で胸が一杯のSさん。どんな心構えでその時を迎えるとよいだろうか。
Y・Sさん 40代 東京
A.(1)
現状 |
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「世界」の中央で嬉しそうにスキップする人物はSさんである。自分の妊娠・出産でしばらくは無理だと思っていた馬のマッサージが、トントン拍子で決まり、近々牧場に行けることになった。Sさんは、「やったぁ、また馬に会える」と大喜び。四方にはSさんを温かく見守る存在がいることから、Sさんは、こんなにも早く復帰できるのは、周囲のサポートのおかげであるとしみじみ思う。なんだかんだと言いながら、牧場に近い実家の両親は子供を見てくれるし、夫の理解もある。牧場もSさんがやろうとすることに好意的である。Sさん本人がびっくりするほど、「世界」のカードは、Sさんをめぐる状況をぴったりあらわしている。
(2)
経緯 |
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経緯の「教皇」の上司と部下は誰か、Sさんにはすぐ分かる。場長と自分である。部下が上司になにやら直訴しているようにも見えるし、上司が部下に指示しているようにも見える。カードは正立なので、お互いの気持ちがわかり合った両者であることがわかる。場長は、Sさんが馬に深い愛情を持っていることをよく知っているので、これまでも経営的には全然余裕がない中、Sさんのためにマッサージの機会を作ってきた。この度の話も、場長はSさんの気持ちを汲み取って、来てもいいといったのではないだろうか。恩着せがましくならないように、Sさんに面と向かっては言わず、ぶっきらぼうにあらぬ方を見て言うところも、場長をよくあらわしている。
(3)
展望は「悪魔」Rとなった。Sさんはカードを見て、中央の悪魔と小悪魔の関係は、まさに馬と自分のことであると思った。大好きな馬に会える喜びが強すぎて、舞い上がったまま馬に近づけば、馬を興奮させてしまうことになりかねない。また、発情期でもあるので、馬を刺激するようなことをすれば、急に暴れ出す危険もある。久しぶりに行くからこそ、馬が人間の心を敏感に感じ取る、実に繊細な生き物であることを忘れてはならない。そんなことはよくわかっているつもりだったが、カードの逆向きから、Sさんは自分の気持ちがうわついていることに気づいた。
(4)
「悪魔」Rの対策カードは「力」で、Sさんが心掛けるべきは、まず、少女のように自分の心をコントロールすることだ。ライオンが少女を信じ切って身を任せているように、Sさんも馬の気持ちを掴み、馬の信頼を得ることが大切である。人の心をすぐ見抜く馬は、安心できる人には心を開く。そのためにも、Sさんは高ぶる自分の心の統御に気を付けるとよい。
(5)
「力」の注目カードは、コミュニケーションを示唆する「恋人」が出た。馬とのコミュニケーション、心を通い合わせることに、心を砕きなさいとのメッセージである。Sさんは、その通りと思う一方で、「これが基本、どんな時もやはり基本だ。」と自分に言い聞かせる。わかっているようで、つい忘れがちなのも基本である。
アドバイスカードは「太陽」。久しぶりの対面に喜び合う二者は、もちろんSさんと馬。尻尾をはやした左側の人物が馬、落ち着いた心で迎え入れる右側の人物がSさんである。このような心で接すれば、お互いに最高のひと時を過ごせること間違いなしである。
場長からいただいた一年ぶりのチャンス。「太陽」カードのイメージをしっかり心に刻んで行こうと思った。