最新のケーススタディ 2014年9月10日号 掲載
Q. Aさんは、将来、タロットリーダーになることをめざして、ずっとタロットを勉強し続けている。一方で、友人や職場の知人などに声をかけて、リーディングの修行をさせてもらっている。繰り返し勉強することで、単なる言葉の理解から、言葉の意味する実体がわかるようになり、ますますタロットの世界に魅かれている。同時に、奥深さを知ることで、自分の未熟さも痛感している。そんな時、友人がAさんに、イベントをするから、その中でタロットをやってほしいと誘ってきた。自分なんてまだまだと思っていたAさん。友人はAさんがタロットリーダーを目標にして頑張っていることを知っている。だから声をかけてくれたのだということもわかるAさんは、今の自分はどうするのがいいか、タロットに聞いてみることにした。
M・Aさん 30代 東京
A. (1)
現状 |
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「力」Rは、まさに自分のことだとAさんにはわかる。一生懸命勉強しているが、自分に自信が持てない。学ぶほどにタロットの深遠な世界に魅了される一方で、学習もリーディングも、自分の未熟さを痛感することが多い。そんな現状だから、友人から誘いの声をかけてもらっても即答できない。カードは逆向きなので、Aさんは、自分のこうした姿勢が問題なのだと知る。「力」のカードが逆向きに出た。Nさんは「ああ、やっぱり。」と思った。
(2)
経緯 |
現状 |
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経緯の「隠者」Rからも、Aさんは、杖を支えにしてその場に立ちすくんでいる老人は、自分のことをあらわしていると感じた。実際は、人一倍熱心に、勉強やリーディングに取り組んできているのに、自分は能力不足ではないかと不安に駆られたり、もっと努力しないと、ちゃんとしたリーダーになれないのではないかと落ち込んだりした。カードは逆向きに出ているので、否定的な考えに囚われて待ちの姿勢になるのはよくないと、Aさんに諭している。Aさんも、こうした消極的な心の姿勢が、実は、自分の進もうとする道を邪魔していることに思い至った。
(3)
展望は「教皇」で、教皇は先人から受け継いできた教えを弟子に伝える様子が描かれる。この場面は、まさに先生から学んできたタロットの伝統をしっかり受け取る生徒としてのAさんの姿である。と同時に、リーディングすることでタロットの智慧を伝えていこうとするAさんとクライアントさんでもある。カードは正立なので、Aさんの努力は実を結び、Aさんは先生から学んだタロットの伝統をクライアントさんとも分かち合う、よきリーダーになっていけるだろう。
(4)
「力」Rの対策カードは「戦車」である。「戦車」のアドバイスは明快である。「友人の誘いには、積極的に応えた方がいい。もっと自分に自信を持って。」とAさんにはっぱをかける。未熟さを叫ぶ自分の中のライオンに手を焼いて、未来に目を向けられないAさんに、馬車に乗った位置から眺め下ろす御者は、自分の状況を少し高い位置から見るようにすれば、余裕が持て、暴れる心のコントロールもしやすいと秘訣を教えてくれる。
(5)
「戦車」の注目カード兼「隠者」Rの対策カードは、「愚者」が出た。タロットは、Aさんに、深刻に考えすぎず、「愚者」のように自分の夢に向かって一歩踏み出すことを勧める。「隠者」Rの赤い杖と違って、「愚者」の赤い杖は前進することを支えようとしている。友人のリーディングの練習をさせていただく修行も大切であるが、イベントに参加して、より本格的な修行をすることは、Aさんにとって新しい体験となるだけに大きな意味がある。
(6)
「教皇」の注目カードは「斎宮」。Aさんが目標とするプロのタロットリーダーを示唆するカードである。このカードが出ているのだから、Aさんの展望は明るい。リーダーとしての自分を磨いてくれる誘いは、積極的に受け入れるとよいだろう。こうした経験を蓄積することで、学習したことが身に付き、タロットリーダーとしての実力が備わってくるからである。
アドバイスカードは「女帝」となった。このカードは、Aさんが自分のことでリーディングすると、しょっちゅう出て来るカードである。「女帝」のように自分という存在にもっと自信を持つこと、そのために、どんなことでも、未来を見据えて積極的に挑戦していくことが、今の自分には大切であると思った。早速、誘ってくれた友人にオーケーの電話をすることにした。
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