最新のケーススタディ 2014年9月25日号 掲載
Q. 出版社勤務のSさんは、職場の先輩であるY氏と組んで企画を担当してきた。Sさんの職業人生は人との出会いにめぐまれたおかげで、今では職場の中核を担うまでになっている。Sさんに仕事のイロハを教え、ここまで育ててきたのは、Y氏である。仕事が面白くなればなるほど、SさんはY氏に感謝の思いを強くし、まだ検討中の企画も、何とか成功させたいと願っている。企画の成功がY氏への恩返しになると思うからである。ところが、最近、Y氏に元気がない。仕事への情熱を、以前のように語らなくなった。Sさんよりずっと長く第一線で頑張ってきたのだから、心や体に疲れを感じているのかもしれない。Sさんはやる気まんまんだが、強引に進めてはいけないと思っている。Y氏とどう向きあうといいのか、タロットで見ることにした。
I・Sさん 50代 東京
A. (1)
現状 |
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「審判」のカードで、Sさんが注目したのは、下から出て来た空色の人物である。それ以前の段階から抜け出て、新たなステージに入ろうとする様子は、Sさんの心の内をよくあらわしている。「第一線でバリバリ仕事をしてきた時とは違う。自分だって、年齢とともに感じる変化がある。Y氏は、自分より一回り上なのだから、自分の年齢ではわからない心身の変化があるかもしれない。」あれこれ思いながら、そろそろ年齢に合わせた調整が必要かも・・・と、うすうす感じていたのである。「審判」が正立で出たことで、Sさんはやはりそうなのだと大いに納得した。
(2)
経緯 |
現状 |
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経緯は「世界」Rが出た。中央で楽しく踊っているはずの人物が逆向きになっている。以前のように、ワクワクした気持ちで仕事をしたいと思うが、今一つ気持ちが盛り上がらず戸惑うY氏のように見える。同時に、Sさんは、自分のことかもしれないと思った。Y氏は、これまで温めてきた企画を定年になるまでに絶対やり遂げたいと強く望んでいるはずと、Sさんは信じてきた。達成に向けて推進していくことが自分の役割なのだから、Y氏にも自分の方から積極的に働きかけるべきだと意気込んでいた。しかし、そうした姿勢はY氏とかみ合わず、Sさんは一人で焦り、もがいていたからである。
(3)
展望は「力」。ライオンを易々と扱うこの少女は、Sさんである。強引さも力みもなく、自分の思いのままにできる「力」の少女は、自分の未来に悲観しない。どんな事態が降りかかっても、自分の中に、それを最善に解決できる智慧と勇気があることを知っている。これまでは、企画の達成に焦りやこだわりがあって苦しかったSさんであるが、Sさんは無事これらの問題を、自分だけでなくY氏にとっても、最も望ましい形で決着をつけるだろう。そして、自分の能力を自分に見合ったスタイルで発揮していくに違いない。
(4)
「世界」Rの対策カードは「悪魔」である。ゆるく繋がれた小悪魔は、中央にそびえたつ悪魔を見上げている。Sさんには、小悪魔が自分とY氏であることはすぐわかった。ゆるいロープを見て、当初の企画の達成にこだわって、自分たちをきつく縛りつけてはいけないと思った。お互いが、気持ちよく共有できる企画をたて、それを目標にすることが大切である。両者が手を後ろに隠している点も、Sさんの目を引いた。本人にしかわからない心情や年齢に伴う体調の変化など、デリケートな部分を問題として取り上げることはしないでおこう。言い方によっては相手を傷つけてしまうかもしれない。そんなことより、実現可能な心が沸き立つ企画について話し合おう思った。
(5)
「力」の注目カード「隠者」は、Y氏である。Y氏は仕事のペースをずっと落とし、ゆっくり無理のない範囲で、Sさんとともに仕事をしていくことがわかる。徐々に、Sさんに仕事を任せ、見守る立場に移行していくことも読み取れる。まるで、「力」のSさんに、「必要なことは十分教えてきた。君に鍵を預けよう。これからは自分で、どんどん新しいことに挑戦しなさい。大丈夫だ、きっとうまくできる。」と言わんばかりに、温かく見守っている。
Sさんは、次のステージのあり方を、「力」と「隠者」に見た。冷静になれば、こうした関係の変化はごく自然なことだと思える。カードを展開したおかげで、焦って悶々としていたSさんは、楽になった。
アドバイスカードの「正義」は、現実を直視し、何事も現実的なバランスを考慮に入れて決めることが秘訣と教えてくれる。Sさんは、自分を取り巻く実情がわかり、落ち着きを取り戻すことができた。新しいステージでも、建設的にやっていけるだろう。
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