Q. Aさんは、現在、同じ大学出身の先輩が経営する学習塾で、講師を務めている。少子化、子供たちの学習環境や学習意識の激変で、経営的には綱渡りだが、先輩もAさんも、自分たちの仕事にやりがいを感じている。先輩に誘われる形で加わるようになったAさんは、何かと先輩を頼りにしてきた。壁にぶつかるたびに相談に乗ってくれたのは先輩で、今日の自分があるのは、先輩のおかげと、Aさんは痛感している。最近、Aさんは、先輩から徐々に仕事を委譲していきたいと言われた。いつかそんな日が来ると、心のどこかで思うことはあったが、実際に先輩から告げられると、自分に務まるか不安になってくる。自分にできることをやっていくしかないのであるが、心を整理するためにタロットを展開した。
S・Aさん 40代 東京
A. (1)
現状 |
現状は「恋人」で、体に手が触れるほど親密な関係にある人たちが相談している。この光景は、まさしく先輩がAさんに仕事の委譲の話をしている場面である。左側の人物が先輩と思われる。先輩はAさんの肩に手をかけて、「次を頼むよ。」と言っているように見える。カードは正立なので、タロットは、この度の先輩からAさんへの提案を後押ししている。Aさんは、不安がらずに、もっと肯定的に捉えるとよいことがわかる。
(2)経緯 | 現状 |
経緯には「世界」が出た。過去を振り返る中央の人物は、この業界一筋でやってきた先輩である。これまでの自分の仕事ぶりを眺め、達成感を感じている。同時に、自分が中心となって展開してきた塾経営に、そろそろ一区切りつけてもいい頃かなと、思案しているようでもある。「世界」も正立なので、先輩の判断は時宜を得たふさわしいものであるといえる。中央の人物は、走り続けたランナーがゴールインする姿にも見えることから、Aさんは、先々の不安より、「そろそろ一区切りを」と思う先輩の心情をもっと汲み取る必要があると感じた。先輩は、これまで苦境に陥っても正面から取り組み、道を切り開いてきてくれたからである。
(3)経緯 | 現状 | 展望 |
展望の「運命の輪」では、後を追うように輪を駆ける2匹の動物が、Aさんの目を引く。Aさんは、2匹の動物は先輩と自分のことだと、すぐ分かった。絵柄のように、先輩が作ってきた道をしっかり引き継いでいけばいい。徐々にAさんの役割分担は多くなるが、当面は先輩と一緒に行うのであるから、共有する時間の中で、できる限り先輩から吸収するとよい。カードは正立なので、引き継ぎもうまく行くだろう。Aさんが不安に思うようなことにはならない。この流れに乗っていきなさいと、Aさんを後押ししている。
(4)(4) | 経緯 | 現状 | 展望 |
「世界」の注目カードは、「正義」Rとなった。大きな両刃の剣を持って正面を見据える姿からは、厳しさがひしひしと伝わってくる。教育事業に関わる人たちは、どこも同じような苦しさに直面したに違いないが、Aさんたちの学習塾も経営的に大変であった。「正義」Rをみると、その時の苦闘が思い出される。Aさんは、自分もつらかったが、経営の責任を担う先輩は、もっと重荷を背負っていたのだと、改めて思った。
(5)(4) | 経緯 | 現状 | 展望 |
(5) |
「正義」Rの対策カードは「戦車」。「戦車」の御者は前を向いて馬車を操っているようであるが、両肩の人面で、広く見渡している。御者は、厳しい現実を乗り切るには、目先の苦しさだけを見るのではなく、大局的な見地から判断することだと言わんばかりである。駆動力となる馬は2頭いるが、よく見ると大きさが違う。右側の落ち着いた表情の大人を感じさせる大きい方の馬に、Aさんは注目する。大人の馬は、ただがむしゃらに子供のように突進するのではなく、大人のように進むべき方向をしっかり捉えて進めば大丈夫と、Aさんにエールを送る。
(6)
(4) | 経緯 | 現状 | 展望 | |
(6) | (5) |