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イシス学院は、カバラー、タロット、アストロロジー、アロマテラピーという形で現代に伝わる古代密儀の伝統を学ぶ魂の学校です。

第238回 次男が大学をやめたがっている

最新のケーススタディ 2014年6月10日号 掲載

Q. Wさんの次男は、頭がよく、学校の成績も優秀であるが、何事においても日頃から不満が多い。気まぐれで、飽きっぽく、生活面はルーズである。一方、高校教諭のご主人は、自分の希望する高校へ次男を進学させるほど、子どもの勉強に入れ込んできたが、大学受験時には、そんな父親の過干渉に次男が反発した。次男は、自分で行きたい大学を見つけ、無事合格。今春からは、自分の思い描いていた楽しい大学生活が始まるはずだった。ところが、次男は大学をやめたいと言い出している。母親として、どう対応するとよいのか思いあぐねたWさんは、タロットリーダーのKさんに、相談することにした。

S・Wさん 40代 茨城

A. (1)

 現状
 

現状には「教皇」Rが出た。教皇が枢機卿か信者の言い分を聞いているように見える様子は、まさに、次男が父親に大学をやめたいと訴えている場面である。実は、選んだ大学が全寮制で、次男は入学のひと月前に、寮を見学しに行っていた。入学後は、8人部屋の寮生活が始まる。狭い部屋、質素な2段ベッドを見て、8人での共同生活は自分には無理と思ったのか、次男は、入学前から、こんな大学はやめたいと言い出していた。その後、何とか思い直して入学するが、入学後も先輩との折り合いを理由に、事あるごとにやめたいと、両親に訴えた。父親は次男を溺愛し、父子関係が近すぎるせいか、やめたいのならやめてもいいと、次男の言い分に耳を傾ける。しかし、カードは逆向きなので、そんな父親のあり方が問題なのだと指摘する。母親であるWさんには、タロットの言っていることが痛いほどわかる。

(2)

 経緯 現状
   
経緯は「節制」Rで、Wさんは、天使は自分であると思った。日頃から愚痴や不満の多い次男は、何かをやり始めても、いろいろな理由をつけてすぐ止めてしまう。せめて自分で決めたことをひとつでもいいからやり遂げてほしいと願っているが、次男に思いがうまく伝わらない。母親として、もっと息子と心を通わせたいと思いながら、心のキャッチボールができないもどかしさを感じるWさんが浮かび上がる。

(3)
経緯 現状 展望
   
展望の「悪魔」からは、なんだかんだと言いながら、大学につながる次男の姿が見える。今は、大学生活への不満が嵩じると、「もうやめる。」としか言わない次男であるが、緊密な人間関係から生まれる楽しさを一度でも体験すれば、小悪魔が喜んで大悪魔のもとにつながっているように、大学に踏みとどまろうと思えるようになるだろう。もともと、親が押し付けたり、学校の先生が強引に勧めたりして受験した大学ではない。次男が自分の意志で決め、自分で望んだ大学である。カードは正立なので、今は煩わしく感じる先輩や同級生との交流も、きっかけ次第で良さを発見するに違いない。

(4)
経緯 現状 展望
   
 
(4)
「教皇」Rの対策カードは、「太陽」である。レンガの内側にいる子供たちは、心が定まらずおぼつかない足取りで入学した次男と、温かく新入生を迎え入れようとする先輩である。Wさんは、カードを見て、次男には今の大学にとどまるように話した方がいいと思った。気に入らないとすぐ不満をあらわにして、楽な方に逃げてしまう次男の将来を考えた時、寮生活で揉まれることは、きっとプラスになる、今の環境でしか培えない体験が、次男を成長させてくれると、Wさんは確信した。

(5)
経緯 現状 展望
   
 
(5) (4)
「節制」Rの対策カード「月」には、向き合う二匹の犬がいる。Wさんは、次男と自分のことだと、ピンときた。溺愛する父親と違って、母親のWさんは、子供の頃から何かを頑張ってやり遂げたという経験がない次男のことで、心を痛めてきた。Wさんが大学をやめることに反対なのは、世間体とか次男の学歴のためではない。鍛錬の機会を得ず、わがままで未熟なまま大人になってしまうことを危惧しているからである。この際、次男としっかり向き合って、心から話をする必要があると、Wさんは思った。二匹の犬を見て、自分の本心を話してみよう、次男も聞く耳はきっと持っているはず。

アドバイスカードは「宙吊り」である。Wさんは、母親として話をしたら、あとは手出しせず、見守るつもりでいる。大きな二本の木の間で、いささかも揺るがず、どっしり構えて見守る「宙吊り」の人のように。その後、Wさんは次男と話し合った。聞けば、水泳大会があって、毎日泳いでいるとのこと。次男の愚痴は相変わらずであるが、やり取りするうちに、次男は水泳大会までは頑張ってみると言い始めた。対策カードに出た「太陽」カードぴったりである。大会に向けて、水泳に打ち込むことが、次男の心も鍛えてくれるに違いない。仲間と一緒に頑張ることの喜びも、少しは体験できるのではないだろうか。折に触れて、苦しさから泣き言を言ってきても、「宙吊り」のように、悠然とした気持ちで接するつもりでいる。

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