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イシス学院は、カバラー、タロット、アストロロジー、アロマテラピーという形で現代に伝わる古代密儀の伝統を学ぶ魂の学校です。

第243回  ニートの弟がいるが、歯がゆくて仕方がない

最新のケーススタディ 2015年9月25日号 掲載

Q. 看護師をするO さんには、弟が一人いる。Oさんは自分の家庭を築き、バリバリ仕事もしているが、弟は40代になっても、実家でぶらぶらしている。弟は体格がよく、身長は180センチもある。手先も器用なので、働く気になれば、仕事も見つかるはずであるが、探す気配がない。何かをしたいという目的があるようにも見えない弟を見て、姉であるOさんは心配で仕方がない。弟は姉であるOさんの言葉に耳を貸さないし、母親も弟のことを話そうとすると、激怒して取り合ってくれない。Oさんは、こんな状態にうんざりしているが、ずっとこの先も続くことを想像すると絶望的になる。姉としてどうするのがいいのか。Oさんは、タロットにヒントを求めた。

Y・Oさん 50代 茨城

A. (1)

現状

現状の「女帝」Rは、実家でぶらぶらしている弟を心配するOさんである。Oさんは、自分なりに弟や母親に働きかけ、何とかしようとしている。しかし、逆向きカードが示すように、うまくいっていない。「このまま、両親が年老いていったらどうなるか、弟はどうするのか、他家へ嫁いだ自分にできることは限られているのに、今後のビジョンすら描けない。」と、Oさんの嘆きが聞こえてくるようである。

(2)
経緯 現状

経緯は「節制」で、Oさんは羽根に注目する。実家で弟や母親と顔を合わせた時に、話がうまくいったためしはなかった。いつも喧嘩になり、もう絶対に弟には関わらないと腹立たしく思ったこともあった。しかし、苦しむ人に手を差し伸べようとしている「節制」の天使を見て、Oさんは、心の中の自分は、やはり弟を救済したいと願っていることに気づく。ひょっとしたら、Oさん自身も気づかない心の奥底で、弟を救済できるのは、自分しかいないと思っているのかもしれない。ともあれ、カードは正立なので、実家を離れたOさんが、弟を気遣ってきたことはよかったのである。

(3)
経緯 現状 展望

展望の「恋人」には、天使と3人の人物が描かれている。Oさんには、実家の家族関係がそのまま映し出されているように見える。3人の人物が、実家で一緒に暮らす弟と両親、天使は、時々実家を訪れるOさん自身である。上空にいる天使は、弓矢を3人の人物に向けているので、Oさんは、弟の問題に働きかけるのは自分の役割であると思った。

(4)

経緯 現状 展望
 (4)

「女帝」Rの対策カードは「太陽」が出た。Oさんは、太陽の存在が気になる。燦々と輝く太陽のもとで、仲良く手を取り合っている二人の子供が、Oさんと弟であることは一目瞭然。まだ尻尾を残す未熟な弟を気遣うのは、姉のOさんである。一番気になった太陽は誰だろう。太陽は一番大きく描かれ、圧倒的な存在感を持って、子供たちを見守っている。これは父親のことを示唆しているのではと、Oさんは思った。実家では、母親の存在が大きすぎて、父親が小さくなってしまっている。本来、家族の中心で揺るぎなく輝いているはずの太陽が見えない。タロットは、Oさんに、父親の存在が本来の輝きを取り戻せるような働きかけを勧めているのだ。Oさんが意識的に心がけることで、父親の存在が回復すれば、本来の家族関係が戻り、弟に自立の自覚を促すに違いない。

(5)
(5) 経緯 現状 展望
 
 
 (4)

「節制」の注目カードは「運命の輪」Rである。このカードにあらわれる3人も、Oさんには誰のことかすぐわかる。輪の上にいるのが弟で、輪にしがみついているのは父と母である。何か言われるとすぐキレる弟は、横柄な独裁者のように振舞い、父と母はわがままな弟に振り回されている。父親は弟を避けるように見て見ぬふりをし、母親は弟のご機嫌取りをしてきた。カードは逆向きなので、この状況を放置してはいけないことがわかる。

(6)
(5) 経緯 現状 展望
 
(6)  (4)
「運命の輪」の対策カードは「悪魔」で、中央にそびえたつ悪魔に小悪魔は敬意を表している。 悪魔は、本来中央に立つべき父親に違いない。悪魔を慕い仰ぎ見る2人の小悪魔は自分と弟かと思うOさん。逆向きになってしまった親子の関係を、本来のあり方に戻すことが、解決の糸口となりそうである。父親がいるのに、父親の存在が家庭から消え、すべてを母親が取り仕切るようになってしまったことが、問題だったのかもしれない。「太陽」カードに引き続き、「悪魔」からも、一家の大黒柱としての父親の存在の回復が読み取れる。Oさんは、男の子の自立には、家庭の中の父性が重要であると思った。

アドバイスカードは「仕事師」。若者の姿は、自分の足で立ち、積極的に働く弟そのものである。体格もよく、手先も器用なのだから、自立の自覚が芽生えれば、きっと自立できるに違いない。そのためにも、実家へ行くときには、父親の存在をもっと引き出すような関わり方をしようと、Oさんは心に誓った。

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