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イシス学院は、カバラー、タロット、アストロロジー、アロマテラピーという形で現代に伝わる古代密儀の伝統を学ぶ魂の学校です。

第253回 社長が変わった後、営業職が難しくなった

最新のケーススタディ 2016年2月25日号 掲載

Q. O氏は、現在、2000人規模のIT会社に勤務している。大学卒業後、14年間営業職一筋である。創業者が社長であった頃は、会社の業績も、社内環境も大変よく、社員にとって非常に仕事がしやすい環境だったという。ところが、5年前に社長が変わったことで、状況が一変し、年々、営業担当に課される目標が高くなり、担当者は忙しくなるばかりである。夜中まで頑張っても、結果を出せなければ評価されず、昇格もない。しかも、昨年秋から、チーム単位の目標達成率で決まっていたボーナスが、個人の達成率で決まることになり、O氏のボーナスも一気に減ってしまった。O氏は、これまで顧客である取引先を大切にし、絶大な信頼を得てきたが、仕事量が増えるにつれ、十分なケアができなくなっている。最近では、O氏をよく知る取引先が心配するほど、精神的にも参っている。かつてのように、チームを作り、リーダーとして部下とともに取引先を回れば、サービスも改善できるとの思いから、O氏は上司に営業チームを作ってほしいと、再三お願いしてきた。それが無理なら、もう営業職を辞めて、違う部署へ異動しようかとも考えている。会社を辞めていく同僚も多い中、O氏の希望は叶うだろうか。

M・O氏 40代 埼玉

A.(1)

現状

現状の「月」Rを見たO氏の目に最初に飛び込んできたのは、池から姿をあらわしたザリガニである。ザリガニは、まさにO氏の心から噴き出してくるやりきれなさをあらわしているようだ。辞める人の続出で仕事量は増えるばかり、会社の達成目標は高くなるばかりのために、夜中まで働いているのに追いつかない。一番大切にしている顧客に十分なケアができなくなっていることも、つらさに拍車をかけている。創業者の社長時代を知るだけに、全く別物になってしまった今の会社への思いは複雑だ。O氏の置かれている状況は、暗くて不安をかきたてる絵柄そのものである。カードは逆向きなので、O氏にとって深刻な問題であることがわかる。何とかしなければならない。

(2)
経緯 現状

経緯の「教皇」は、O氏をかわいがってくれる取締役のS氏である。S氏は会社の現状もO氏のこともよくわかっているので、相談すると必ずアドバイスをくれる。「教皇」の視線は「月」Rに注がれているので、過酷な状況で奮闘するO氏のやりきれなさに胸を痛めながら、それでもなんとか頑張ってほしいと思っているようだ。

(3)
経緯 現状 展望

展望には「力」が出た。O氏は、少女と蜂とライオンの関係に注目した。ぴったり視線を合わせる少女と蜂は、自分と顧客であるとわかる。O氏は、いつもお客さんの立場に立つことを心がけているし、お客さんもそのことを知ってO氏を信頼しているからである。カードは正立なので、O氏はきっとこの苦境を乗り越えていくだろう。自分が納得できるサービスを顧客へ提供していくようになるのではないだろうか。ライオンは少女に寄り添っているので、O氏のことを理解し、力になってくれる存在もあらわれそうである。同じ部署の部下、ひょっとしたら、思わぬ援軍かもしれない。カードは、苦しむO氏に、やがていい方向へ展望は開けていくからめげないようエールを送っている。

(4)
経緯 現状 展望
 
  (4)

「月」Rの対策カードは「神の家」となった。O氏には、色とりどりの球が建物を取り巻いているようで、華やかに感じられる。「月」Rの陰鬱さとは対照的である。「月」Rと「神の家」は建物で親縁しているが、「月」Rには二つの建物がある。これはO氏の心の中にある創業者が社長だった頃のよき思い出がたくさん詰まった会社、もう一つが、現在のつらいばかりの会社のことを示唆しているのではないだろうか。「神の家」には、建物は一つしかないので、タロットはO氏に、「過去の良かった時代と比較して悶々とするのはやめよう、気持ちを吹っ切って、今の会社の実状をよく見て、課題解決に専念していこう。」と、助言しているようだ。どんな会社でも、ずっと右肩上がりで成長することはない。IT業界ならなおさら、浮沈はあることである。自分の心の中で、楽しかった過去と比較することを止めれば、少しずつ冷静になれる。見えなかった美点に気づくこともあるだろう。今までとは違う視点で見ることで、現状打破のきっかけもつかめるものである。

(5)
経緯 現状 展望 (5)
  (4)

「力」の注目カードは「悪魔」Rである。中央で圧倒的存在感を発揮しているのは、現在のワンマン社長である。社長は創業者の時代のやり方をがらりと変え、強烈な独自性を発揮しているので、取締役や周りの者は、心の中に問題意識を持っていても口にすることはなく、表面は社長に忠誠を誓っているようだ。この状態では、O氏のリクエストが会社上層部に受け入れられるのは難しいであろう。

(6)
経緯 現状 展望 (5)
  (4)  (6)

「悪魔」Rの対策カードは「宙吊り」なので、しばらくは現状維持がよい。4月には社内の改変があるとのこと。それまでは、早く事態を改善しようと働きかけるよりは、今の自分にできることをしてみてはどうか。O氏のつらさは、夜遅くまで働く身体的疲労より精神的疲労が圧倒的に大きい。自分の心の中で渦巻く否定的思いを収めることができれば、つらさはずっと和らぐ。会社の業務に関しての権限は限られているが、自分の心の統治者になる努力はできる。自分の心のコントロールができるようになると、ゆとりが生まれ、的確な観察ができるようになる。八方ふさがりでどうしようもないと思っていたことも、妙案が浮かぶのではないだろうか。

アドバイスカードも「宙吊り」である。4月の社内の改変まで、ただ我慢するのではなく、「宙吊り」のように、つらいときにいかに心をコントロールしていくのかを考えるチャンスにできれば、営業マンとしてのO氏は、これを機に大飛躍していくに違いない。

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