Q. Sさんには二人の子供がいる。子育て中は何かと忙しかったが、息子が就職で親元を離れ、娘も留学中で、今は、夫と二人だけの生活を送っている。将来、子供たちが地元に戻ることがあるかもしれないが、当面は二人の生活が続きそうである。長らく専業主婦だったSさんは、子供に手がかからなくなってから保険の仕事を始めたので、家庭生活に専念できるわけではない。でも、ずっと家族を養い支えてきてくれた夫との生活をできるだけ充実させたいと思っている。そのためには、どんな点に着目するとよいか。
N・Sさん 50代 石川
A.(1)
現状 |
現状は「節制」が逆向きで出た。二つの壷を行き交う水の流れを見て、Sさんは気持ちの交流がやはり不足していることを、痛感した。お互いに仕事をしているので、平日は話をする時間があまりない。休日も、仕事のストレスや平日にできなかった家事などで、時間はあっという間に過ぎてしまう。現状を振り返ってみて、Sさんは、二人で一緒に何かをするということが、本当に少ないことに気が付いた。
(2)経緯 | 現状 |
経緯は「皇帝」Rで、ご主人は不満げである。Sさんも、カードを見て思い当たることがいくつかある。ご主人は、専業主婦だったSさんが保険の仕事を始めることを、寛容に認めてくれた。見習いのうちはよかったが、昇進するとだんだん仕事が大変になり、家庭のことはつい後回しになりがちだった。余裕がないから、一緒に出かけようとご主人が誘っても、やめてしまうことも多かった。優しいご主人は不満を口にしなかったが、カードには本心があらわれている。Sさんは、ご主人の寛容さに甘えて、寂しい思いをさせてしまっていたと反省する。
(3)経緯 | 現状 | 展望 |
展望「運命の輪」Rである。2匹の動物がそれぞれのペースで回っている様子から、お互いが仕事をしているため、これからも時間のすれ違いは続きそうである。仕事が大変であることを言い訳にしていると、一緒に過ごす時間がなくなるだけでなく、どんどん気持ちも噛み合わなくなってしまうかもしれない。Sさんは、カードを見て、今のうちに手を打つことの必要性を感じた。
(4)経緯 | 現状 | 展望 |
(4) |
「節制」Rの対策カードは「神の家」となった。しっかりレンガが積み上がった家から、Sさんは、もう少し日々の生活の中で、家庭生活の充実に向けて意識的に取り組んでいこうと思った。ご主人が一家の大黒柱となって築いてきた家だから、ご主人の心の中には、家族を養うために頑張ってきた家長としての誇りもあるに違いない。その気持ちをもっと汲み取った言葉をかけたり、行為を心がけると、ご主人も喜んでくれるに違いない。
(5)経緯 | 現状 | 展望 |
(5) | (4) |
「皇帝」Rの対策カードは「女帝」で、ご主人の不満を解決する鍵はSさんが持っていることがわかる。Sさんが、意識的にご主人に配慮し、Sさんのほうから働きかけるようにすれば、Sさんの愛情がご主人に伝わるようになるだろう。もともと寛容で優しいご主人なのだから、すぐわかってくれるのではないだろうか。
(6)
経緯 | 現状 | 展望 |
(5) | (4) | (6) |
「運命の輪」Rの対策カードは「月」。絵柄は、一日の仕事が終わって、二人が食事をする様子にも見える。時間の取りやすい休日などに、家で手をかけた食事を作ったり、時にはムードのあるレストランで、ゆっくりおいしいものを食べたりしてみるのもお勧めである。ゆったりした雰囲気の中で、食事とおしゃべりを楽しむことで、お互いの気持ちも満たされる。平日も仕事でめまぐるしいかもしれないが、夜のひと時をわずかでも共有するように努めるだけで、ずいぶん二人の関係が変わってくる。
アドバイスカードは「恋人」なので、Sさんの方から積極的にコミュニケーションをとったり、ご主人からの誘いにもできるだけ応えるとよい。かつての恋人時代のような関係を作るようにしていくと、二人の関係は、長年苦楽を共にしてきた分、しっくりと噛み合い充実するだろう。お互いへの感謝、家庭を一緒に築いてきたことへの喜びを共有できるに違いない。Sさんは、カードの展開を見て、原点に立ち返った思いがした。 前回のケーススタディ