タロットリーダーOさんのクライアントの一人に、リーディングの修行時代、友人が紹介してくれた人がいる。彼女との関係は長く、一時は疎遠になったものの、昨年再会してから、Oさんは何かと相談にのってきた。ある時、彼女は、Oさんに、アロマに興味があり勉強したいと言ってきた。Oさんは、彼女に役立てばとの思いから、自分が愛用するメーカーの製品を紹介したり、学んできた学校のパンフレットを渡したりしてきた。彼女は興味を示すが、いつも、「仕事が落ち着いたら・・・、お金が入ったら・・・。」と言うばかり。それでも、Oさんは根気よく接してきた。その甲斐あってか、彼女はアロマキット購入を決め、Oさんがサポートすることになった。ところが、間際になって、彼女はキットの中に入っている器具だけが欲しいと、また心変わりする。あきれたOさんは、彼女に本心を問い質した。彼女からは謝罪の連絡を受け取ったが、今後、気まぐれな彼女にどう対処すればいいのか分からなくなってしまった。そこで、タロットに助言を求めることにした。
M・Oさん 40代 埼玉
A.
(1)
現状 |
現状に出たのは「世界」である。最後のやり取りは、彼女に本心を問い質すきつい内容だったので、Oさんは「世界」が正立で出たことに正直驚いた。しかし、カードを見て、これで良かったのだと思えた。中央に立つ人物と四方を取り巻く存在は、Oさんが彼女に対し、もう十分な働きかけをしてきたと言っているようだ。
(2)
経緯 | 現状 |
経緯は「月」Rで、向き合う2匹の犬は、これまでのOさんと彼女のやり取りをよくあらわしている。向き合ってはいるものの、色が違うので、噛み合っていなかったことがわかる。事実、Oさんは、熱心に製品を紹介したり、学校のパンフレットを渡したりしてきたが、いつも彼女の反応は鈍く、あいまいだった。何度か繰り返されるうちに、Oさんは、裏切られた感じがしてきて、気持ちが波立ったのだ。「こんなに一生懸命やってきたのにひどい」という気持ちを引きずってはいるが、Oさんは、カードが逆向きであることから、ひょっとしたら良かれと思っていたことが、実は、自分の勝手な思い込みにすぎなかったのかもしれないと反省した。
(3)
経緯 | 現状 | 展望 |
展望は「星」が正立で出た。気持ちが収まらないOさんは、このカードも意外な気がしたが、水をどんどん流す女性の姿を見ているうちに、その水が、自分の心の中にあるもやもやした気持ちも洗い流してくれるように感じた。Oさんは、「『星』の女神のように、自分のアロマへの思いや情熱は強く、彼女の気まぐれに振り回されたことで萎んでしまうようなちっぽけなものではないはず。ささくれだった自分の心をこの溢れる思いで清め、今回の一件を今後の糧としていけばいい。」という気になった。
(4)
経緯 | 現状 | 展望 |
(4) |
月」Rの対策カードは「愚者」で、空色の犬で親縁している。Oさんは、原点に立ち返ることの大切さを思った。空色の犬は、Oさんの心の中にある、初めてアロマを学んだ時の感動、高揚感、思い描いた理想を象徴しているかのようだ。人への働きかけも、原点にあるその純粋な思いからすることが肝要だ。
(5)経緯 | 現状 | 展望 |
(4) | (5) |
「愚者」の注目カードは「宙吊り」なので、彼女には、これ以上、手を出す必要はなさそう。Oさんは気持ちが固まった。今回のことで、Oさんは、今まで、何でも手出しすることはが良いことだと思ってきたが、いつもそれが正解であるとは限らないことに気づいた。
アドバイスカードも「宙吊り」なので、このカードのメッセージはとても重要である。分かち合いを積極的に行なおうとしてきたOさんに、多くの気づきを与えた。「宙吊り」は手を後ろに引っ込めながら、逆さになって冷静に事態を見つめている。絵柄の一つ一つが、「真の分かち合い」に必要なことを示唆している。Oさんは、タロットの智慧を活かして、「真の分かち合い」ができるようになりたいと思った。 前回のケーススタディ バックナンバー (第201回~最新号) (第82回~第200回)