Q.
Oさんの義理の母は、昨年6月から体調を崩し、入院していた。一度は退院したものの、今年2月に再入院となったが、病院での治療も限界となり、緩和ケアの病院に転院することになった。ついこの間までは、家族の誰もが、元気に回復できると信じていたので、医師の宣告に皆がとまどい、何をどうしていいか分からないでいる。そうしている間にも、時間は刻々と過ぎ、残された時間は少なくなっていく。Oさんは、この事態の中で自分がすべきことを、タロットに聞いてみた。
M・Oさん、40代 埼玉
A.
(1)
現状 |
現状は、「隠者」が出た。義父である。義父は長年連れ添った義母と気持ちが同化し、食事も喉を通らず、体がすっかり小さくなってしまった。義父は、医師から、義母の病状はもうどうすることもできないと宣告されておろおろしているが、まだ救う道があるのではないか、何かできることがあるはずだと手立てを探している。杖で自分の体を支えながら、探し求める「隠者」の姿からは、心労で痩せてしまった自分を奮い立たせる義父の必死な気持ちが、ひしひしと伝わってくる。
(2)
経緯 | 現状 |
経緯は「正義」R。Oさんは、いつもは「正義」の女性の表情が優しく見えることが多いのだが、今回は、怖くなるほど厳しく感じられた。 この女性は義母に違いない。カードの逆向きは、家族が思っている以上に義母の状況は深刻で、緊迫していることを示唆しているようだ。それなのに、家族は医師の宣告に動揺して、義母にしっかり向き合えていない。ついこの間まで、家族の誰もが、そのうち元気になると、義母の病状を楽観視していたので、気持ちの整理がつけられないのだ。 Oさんは、カードを見て、こんな時だからこそ、義母に対して自分にできることをしなければと、厳粛な気持ちになった。
(3)
経緯 | 現状 | 展望 |
展望は「恋人」Rで、Oさんの注意を引いたのは、3人の人物である。3人で思い当たるのは、義母の3人の子供、Oさんの夫である長男、弟と妹である。3人は仲がよくない。それぞれ家庭を持ってからも、年に1,2回、儀礼的挨拶を交わすだけの間柄なので、皆で協力して義母に付き添うことは難しいかもしれない。しかし、義母にとって、子供たちが不仲なままであることは悲しく淋しいことだ。その点、 長男の嫁であるOさんは、確執がない分、夫の弟や妹と意思疎通が図りやすい立場にある。Oさんは、自分の出番がここにあるように思った。
(4)
経緯 | 現状 | 展望 |
(4) |
「正義」Rの対策カードは「月」である。Oさんは、月に向かって吸い上げられる雫に注目した。Oさんが、雫からすぐ思い浮かべたのは、エッセンシャル・オイルである。長年、アロマの勉強をし、自分で愛用してきた経験から、オイルなら、動くこともままならない義母の安らぎに役立てるような気がする。Oさんは、自分が付き添う時に、エッセンシャル・オイルを使って、浮腫くんでしまった手足をさすってあげようと思った。。
(5)
経緯 | 現状 | 展望 |
(4) | (5) |
展望「恋人」Rの対策カード「運命の輪」からは、 大きな一つの輪がOさんの目に飛び込んできた。夫の3兄弟の心が一つになるチャンスは、母親(義母)と最期の時を共に過ごすこの時しかないかもしれない。3兄弟が仲良く協力する姿を見れば、義母はきっと喜んでくれるだろう。Oさんは、まず自分が率先して、皆に気を配り働きかけていこうと思った。
アドバイスカードの「仕事師」は、フットワークが軽く、状況に応じて、臨機応変に必要なことを機敏に行える人である。Oさんは、アロマで義母が少しでも楽になるようにしながら、義母と3人の子供たちが心の通い合った時を過ごせるような働きをするつもりでいる。ふっと、「仕事師」は、ひょっとしたら夫(義母の長男)をあらわしているのかもしれないと、Oさんは思った。長男である夫にとって、母親は大きな存在なので、言葉にあらわせないほどのショックがあるに違いない。夫の心に寄り添い、夫と母親との最期の時に最大限の気遣いをすることも忘れてはならないと、自分に言い聞かせた。
タロットのリーディングのおかげで、Oさんは落ち着いて、義母に接することができた。義母はOさんのアロマをとても気に入ってくれたようだ。亡くなる前夜には、アロマをして帰ろうとするOさんたちに、手を動かせないはずの義母が、布団から手を出して振ってくれたとのこと。居合わせた全員が、奇蹟だと思ったそうだ。こんなに喜んでくれるなら、もっと前からやればよかったと反省。だから、最後の最後に孝行する機会を与えてられたことに、Oさんは、ただ感謝だった。