Q.
Yさんは、教育関連の会社に勤めている。長年の経験があることから、社内で、次世代育成のため、同じチームにいる若い社員への指導を任された。Yさんは、自分の望むところでもあったので、意欲的に取り組んできたが、最近は、今まで感じることのなかった難しさを感じることが多く、行き詰っている。その社員は、Yさんによく馴れ馴れしい言葉遣いをする。当人は何とも思っていないようで、Yさんが閉口していることにも、全く気付いていない様子である。目の前のことに一生懸命なあまり、周囲のことは視野に入らないのかもしれない。Yさんの若い頃なら、厳しく注意を受けたものだが、昨今では、会社の人間関係も希薄になり、Yさんは遠慮している。でも、今のままでは、やりにくさを感じるばかりである。Yさんは心を整理するために、タロットを展開することにした。
K・Yさん 60代 東京
A.
(1)現状 |
①現状は「13」が出た。Yさんは、黒い土の中にあるバラバラになった人体を見ていて、今の自分の心の中を見る思いがした。若手社員は人間関係の距離感の取り方、特に上下の人間関係の距離感があまりわかっていないようで、Yさんは、やりにくくて仕方がないのである。世代の感性の違いもあるだろうが、やりにくさをいつまでも引きずると、仕事にも悪影響が出そうだ。何とか吹っ切って、もっと気持ちよく仕事をしていきたい。カードは正立なので、今がこの事態を変える時である。
(2)
経緯 | 現状 |
②経緯は「月」で、Yさんは、二匹の犬に注目した。まず、色が違う。向き合ってはいるが、二匹とも、相手を見るというよりは、月を見上げている。Yさんには、対面して話し合っていながら、言葉が行き交うだけで、心が噛み合っていない(心の色が違う)自分と問題の若い社員に見えた。心にモヤモヤが残るやりとりだったので、仕事の肝心なところはきちんと伝わっていないのではないかと思われた。
(3)
経緯 | 現状 | 展望 |
③展望の「恋人」Rを見たYさんは、このままでいくと、やはり意思疎通のはかり方が問題になると思った。上下の人間関係なのに、横の人間関係のような振る舞いをすると、人間関係はぎくしゃくする。Yさん自身が引っかかったのも、実はこの点である。カードは逆向きなので、放置してはいけない。
(4)
経緯 | 現状 | 展望 |
(4) |
④「恋人」Rの対策カードは「教皇」。このカードには、上下の立場が明確な人間関係が示されている点で、「恋人」Rと対照的である。Yさんは、反省した。若い社員の言動に、うんざりして遠慮していてはいけない、指導すべきは指導するという確固たる姿勢が、自分に求められている、Yさんは、目が覚める思いで絵柄を見た。
(5)
経緯 | 現状 | 展望 | |
(4) | (5) |
⑤「教皇」の注目カードは「世界」である。いろいろなタイプの人間がいながら、全体としてまとまり、一体感がある。人間関係の理想のあり方に見えるが、これは、縦と横の人間関係から出来上がるもので、会社で、いい仕事を成し遂げていくには大切な点である。こうしたことを次世代に伝えていくことも、自分の役割に違いない。
アドバイスカードは「悪魔」。上下関係にある者たちが、しっかりつながっている。下の者は上の者を深く尊敬し、絶大な信頼を寄せている。Yさんは、タロットを展開するまで、自分勝手に振舞う若手社員は手に負えないと本当に憂鬱だった。しかし、カードを見て、気持ちが変わった。遠慮しないで指導することが、若手の成長になるとイメージできた。