Nさんは、現在一歳児の子育て真最中である。物静かで穏やかな子どもであるが、よちよち歩きができるようになってからは、一気に行動範囲が広がった。家の中でも動き回って、何にでも手を出すようになってきたので、母親のNさんは目が離せない。子どもの後を追いかけながら、改めて子育ては大変だと実感している。これまで、第二子は、第一子の子育てが落ち着いてから考えればいいくらいのつもりでいたが、今は、自分の年齢や体力・気力を考えるなら、早いほうがいいのではと思うことが多くなった。夫と話し合って決めることであるが、その前に、まず、自分の心を整理してみようと思い立ち、タロットを展開することにした。
K・Nさん 30代 千葉
A.
(1)現状 |
①現状は、「審判」正立で出た。カードには、天使と家族が描かれている。最初に目に飛び込んできた天使から、Nさんは、新しい家族を迎えても大丈夫と言われたような気がした。実は、Nさんは、第一子の妊娠中に、予期しなかった体のトラブルで、不安を抱えて過ごす時期があった。徹底して体の管理をすることで、乗り切ることはできたが、その時の不安と辛さは、まだ生々しく記憶に残っている。「第二子の妊娠中に、また同じことが起きたら・・・、しんどいな。」という思いが先に立って、第二子のことは先送りしていたのである。踏ん切りがつかなかったNさんにとって、家族の誕生を後押しする「審判」カードが正立で出たことは、本当に大きな意味がある。ほっとしたし、大いに勇気づけられた。
(2)
経緯 | 現状 |
②経緯は「宙吊り」が逆向き。Nさんには、不安で固まった自分の姿に見えた。夫は仕事が忙しく、とても子育てに協力できる状態にない。Nさんは、一人目の育児でも大変さを感じているのに、二人目を考えていって大丈夫なのかと、どうしても悲観的な思いにとらわれてしまう。カードは逆向きなので、まずこの否定的な思いを解決する必要がありそうだ。
(3)
経緯 | 現状 | 展望 |
③展望も「運命の輪」が逆向きである。Nさんには、車輪とともに駆け巡ろうとしている動物が、何かに縛られて動けなくなっているように見える。運命の輪を円滑に回していけない自分の姿かもしれない。ふとその時、思い出したのが、第一子の妊娠中に言われた「次は、早めに食生活を含めた体の管理が必要になるかもしれない」という言葉だった。Nさんは、自分が次の妊娠を躊躇する真の原因は、育児そのものの大変さというより、この一言を引きずっていることにあると気づいた。
(4)
経緯 | 現状 | 展望 |
(4) |
④「宙吊り」Rの対策カードは「月」で、二匹の犬を見たNさんは、ひとりで抱え込まず、まず夫と率直に話し合おうと思った。夫は、日々帰りが遅く、休日も忙しそうにしているので、Nさんはあまり自分の不安を持ち出さないようにしてきたが、二人にとって重要なことは、二人がありのまま話し合うことで解決していくのが、やはり一番であると納得。
(5)
経緯 | 現状 | 展望 |
(4) | (5) |
⑤「運命の輪」Rの対策カード「世界」からは、中央の人物を囲む空色の葉のリースに着目した。第五元素をあらわす空色の葉から、Nさんが真っ先に思い浮かべたのは、エッセンシャルオイルである。オイルを活用することで、妊娠中に言われた言葉の呪縛から自分を解放していこう、もっと楽観的に考える心を取り戻さなければ、悲観する自分からは希望も喜びも生まれないと思った。
(6)
経緯 | 現状 | 展望 |
(4) | (6) | (5) |
⑥「世界」の注目カードは「13」である。Nさんには、黒い土の中にあるバラバラの人体が、心に突き刺さっている言葉や、不安、しんどさの象徴に見える。これらをひとつひとつ解決していこう。次の妊娠中に起きるかもしれない体の問題に関しても、事前に検査を受けたり専門家に相談したりすればいい、何か手は打てるに違いない。 アドバイスカードも、現状と同じ「審判」。「大丈夫、何も心配することはありません」と、再び天使の力強い後押しを感じ取ったNさん。第二子を授かるよう、もっと前向きに取り組んでいこうと、心が定まった。
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