Q
Oさんには、3人の息子がいる。息子たちは、それぞれ自分の夢に向かって生きているが、とりわけ19歳になる次男は我が道を行くタイプ。高校の機械科を中退し、現在は、焼き鳥屋でアルバイトをしながら、都立の通信制高校に通っている。焼き鳥屋は人手不足で、次男もいつもくたくただ。でも、次男は飲食の仕事が好きなので、忙しさが苦にならない。そのうち、次男の働きぶりは、オーナーの目にも留まったようだ。ある日、帰宅した次男が、オーナーから、正社員にならないかと声をかけてもらったと、Oさんに報告した。ありがたいお話で、Oさんも喜んだが、次男には通っている高校も卒業してほしいと願っている。次男にどう助言するとよいか、タロットで見ることにした。
H・Oさん 50代 東京
A
(1)現状
現状 |
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①現状の「愚者」を見たOさんは、まさに次男であると思った。すべてにおいてマイペースの次男は、勉強があまり好きではない。現在通う高校も、通信制・単位制で、自分のペースにあわせて学んでいる。順調にいけば20歳ぐらいには卒業が見込め、将来は、料理の道に進むのが夢だと言う。理科大を出てIT会社に勤務する長男や、国立大学の工学部受験をする高3の三男と大違いだが、Oさんは、「やりたいことが見つかった!」と目を輝かせて語る次男を、なんとか後押ししてやりたいと思っている。Oさんは、カードの絵柄から、自分は愚者を信頼して寄り添うように付き従う犬のようであればいいのだと、確信を持つことができた。
(2)経緯
経緯 |
現状 |
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②経緯は、「恋人」が逆向きで出た。アルバイト先のオーナーから、正社員になる話を打診されて、選択に悩む次男の様子がよくあらわれている。次男の心には、「焼き鳥屋の仕事も好きだ、自分が目指している道と同じ食の分野だ、オーナーに認めてもらえた、でも正社員になったら、高校はどうなる? 高校も辞めたくない、・・・」など、さまざまな思いが湧き起こり、何をどう決めるのが自分にいいのか、わからなくなっているのだろう。
(3)展望
③展望は「世界」。Oさんは、中央の人物の姿に、一人前に成長していく次男を見た。カードには、周囲に見守る存在が描かれているように、一人前への道は、本人の力だけで成し遂げられるものではなく、周囲の理解や支えを受けてはじめてできることである。Oさんは、次男を理解する人の縁を大切にすることで、次男自身も自分の夢を叶えていけると思えた。
(4)
④「恋人」Rの対策カードは「斎宮」で、最初に目についたのは、斎宮が手にする本である。「斎宮」カードは、通信制の高校に在籍する次男と思われる。Oさんは、すぐにピンときた。次男は、学業にしっかり取り組み、きちんと高校を卒業することが大切。中途半端にしてはいけないのだ。
(5)
⑤「斎宮」の注目カードは「女帝」となった。女帝は、見るからに社交上手で、先々のことを見据えながら必要な手を打てる人である。Oさんは、女帝として、次男にこう助言してあげようと思った。「わざわざ声をかけてもらったのだから、正社員の話は受ける方向で考えるのはいいことよ。でも、高校は卒業した方がいいと思うわ。これまで、卒業をめざして頑張ってきたのだから。オーナーさんには 通信制の高校に通っていることもきちんと話し、卒業までは両立させてほしいと、お願いしてみてはどうかしら」と。
アドバイスカードは「教皇」。焼き鳥屋のオーナーに、自分の思いを話す次男の姿に見える。率直に事情を話せば、高校卒業への配慮も含めて、オーナーの理解が得られそうである。タロットを展開したことで、Oさんもすっきりした気持ちで、次男を後押しできることを喜んだ。
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