Q
群馬で、80歳を超えて一人暮らしをしているKさんの母は、家の中での転倒が原因で、ひと月入院し、その後、褥瘡の処置ため、特別養護老人ホームのショートステイを利用することになった。利用には、何日間か家で過ごす条件がある。そこで、東京に住む一人娘のKさんは、何度も足を運んで手助けをしていた。その最中に、新型コロナウイルス問題で移動制限が出されたが、ありがたいことに、施設は、事情を汲み取り、特例で母の長期滞在を認め、新しい環境に慣れない母のわがままにも、ずいぶん付き合ってくれた。おかげで、母の褥瘡は完治し、驚くほど元気になった。でも、この先、高齢の母が、ずっとショートステイの利用だけでやって行けるかはわからない。施設長からは、いろいろな施設を見学してみることを提案されたが、どこかに当てがあるわけではない、そこで、施設探しのヒントを、タロットに尋ねることにした。
E・Kさん 40代 東京
A
(1)現状
現状 |
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①現状に出たのは「皇帝」Rで、Kさんは、行動しようにもできない状況に置かれている自分を見た。Kさん自身、東京にいて、コロナ禍でなかなか思ったように動きが取れないし、よさそうな施設に電話しても、施設はコロナ対策で余裕がなく、将来にむけての相談に乗るどころではない様子。Kさんは、施設を回ったり、見学させてもらうこと自体、憚られるような空気を感じ、動けないでいるのである。
(2)経緯
経緯 |
現状 |
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②経緯の「運命の輪」も逆向きであった。Kさんには、介護施設や自分や母が、波立つ水に浮いているようで、とても不安定に見えた。振り返れば、まさに絵柄の通りの日々だった。経験したことのないコロナ禍の荒波に見舞われる中、人生初めての入院や老人ホームのショートステイを経験することになった母も、母を助けるために奔走したKさんも、てんてこ舞いした。一方、施設長は、移動制限で身動きできないKさんを気遣って、何かと母の世話をしてくれた。勝気な母をなだめ、満足させるのは容易ではなかったはずなのに、施設長は、スフィンクスのように毅然と現場をまとめ上げ、対応してくれた。地獄で仏とは、このことかと思う。施設長には、本当に感謝である。
(3)展望
③展望は「星」が出た。献身的に壺の水を注ぎ続ける女性の姿を見て、Kさんは、母にぴったりの施設を探すことに、たっぷり時間をかけようと思った。便利さを考えて、東京の施設を探すことも考えていたが、星がまたたく自然豊かな絵柄は、地元の群馬を連想させるので、やはり、母には地元の施設を探すのが良いと思った。
(4)
④「皇帝」Rの対策カードは「斎宮」。これまでのリーディングでは、母をあらわすと読むことが多かったカードであるが、今回は、自分自身のことだと、Kさんはピンときた。当事者意識をもって、まず自分なりに調べることが大切なのだろう。ヴェールが目についたので、施設の内部に詳しいベテランに相談するのもよいと思った。
(5)
⑤「斎宮」の注目カード兼「運命の輪」Rの対策カードは「仕事師」である。Kさんは、絵柄を見て、母を担当しているケアマネジャーがすぐ浮かんだ。女性であるが、髪型が「仕事師」にそっくりで、フットワークが軽く、行き届いた世話をしてくれる人である。途中から母の担当になった人であるが、Kさんは、この人なら、母の今後のことや施設探しの件も、きっと適切な助言をしてくれると思えた。
(6)
⑥「仕事師」の注目カードは「愚者」なので、施設探しは焦らずゆっくりでいい。コロナ禍が落ち着いてから動き始めたほうが、施設側も対応しやすいし、Kさんも遠慮しなくて済む。
アドバイスカードは「隠者」。今すぐ何かをするというよりは、じっくり調べながら探していくのが良いと思った。現在の母は、ショートステイでお世話になっている今の施設に慣れ、驚くほど元気で何事にも積極的になった。人づきあいがなく、いつもわがままを言っていた母がこんなに変化するとは、Kさんにとっては奇蹟のようだ。母が楽しそうなので、けっこう長くショートステイの利用でやっていけそうな感じもする。Kさんは、この状況が一日でも長く続くことを祈りながら、母の今後に備えることにした。
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