Q
T氏の母方の祖母は現在95歳で、田舎の施設に入っている。施設では、コロナ禍でずっと面接が禁止され、祖母は家族と話すことも会うこともできなかった。そんな中、暑さが厳しかった夏のある日、祖母が体調を崩して元気がないと、施設長からT氏の母親に連絡が入った。祖母の娘であるT氏の母親はもちろん、子どもの頃からおばあちゃん子だったT氏も、気が気でなかったが、面接禁止は続いていた。T氏は、会いに行けない代わりに、慰めの手紙を出した。T氏の手紙を読むことは、祖母の力になったようで、9月に入ってからの施設長の連絡によれば、祖母は元気を回復してきたという。最近は、感染予防シートを介して、ごく短時間(10分くらい?)の面接はできるようになったが、東京から祖母のいる施設までは遠く、往復には何時間もかかる。T氏自身、コロナ禍のしわ寄せで、仕事も超多忙である。それでも、祖母には会いに行くべきだろうか。
S・T氏 40代 東京
A
(1)現状
現状 |
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①現状に出たのは「教皇」で、T氏には、誰のことか一目瞭然だった。この人物は、祖母が入居している施設の施設長、そして教皇の前にいる2人が、自分と母親である。地元には、伯父家族がいるが、祖母との仲があまりよくないので、祖母に関する連絡の第一報は、祖母の娘であるT氏の母親に来ることになっている。また、祖母のことを、誰よりも気にかけて連絡をとるのも、T氏の母親とT氏なので、まさにぴったりの絵柄である。正立カードが示すように、離れてはいるけれど、気配りをしてくださる施設長のおかげで、意思疎通はできている。
(2)経緯
経緯 |
現状 |
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②経緯は「恋人」Rである。カードに登場する3人は、祖母のことを話し合う自分と母親と妹のようだ。逆向きの絵柄を見ていると、夏に施設長から、祖母の具合が良くないと連絡を受け、おろおろしていた時の様子が思い出される。コロナ禍で会いに行くこともできず、心配を口にするだけで、何もできなかった。その頃は、自分たちも仕事や生活をこなすのに精一杯で、余裕がなかったこともある。
(3)展望
③展望は「宙吊り」R。T氏には、祖母が寂しがっている姿にしか見えなかった。T氏は、子どもの頃から、毎月文通をするほど祖母と仲が良く、祖母から可愛がられてきたので、親しい者との触れ合いを閉ざされた祖母の心中を考えると、本当に辛い。祖母はもう95歳。カードも逆向きであることから、T氏はこの問題を放置してはいけないと痛感した。
(4)
④「恋人」Rの対策カードは「審判」が出た。カードを開けてすぐ、天使を見上げる人物が目に飛び込んできた。T氏は、絵柄を見て驚いた。T氏の母は松本の出身で、祖母も地元の施設に入所しているので、遠くには山が見える。まさに絵柄ぴったりである。だから、身を乗り出すようにして何かを伝える天使は、祖母にしか見えず、見上げる人物は、自分以外に考えられなかった。この人物を見て、T氏は、母や妹の意見を待つのではなく、まず自分が積極的に動き、〇〇しよう!と提案していくことが必要なのだと思った。
(5)
⑤「宙吊り」Rの対策カード「太陽」を見たT氏に、もう迷いはなかった。たとえわずかな時間であっても、祖母に会いに行こうと思った。これまでも、T氏が手紙を出すと、「生きる支えになっている」と、祖母は言ってくれた。会いに行けば、きっと喜んでくれる。祖母の年齢を考えると、チャンスはいつでもあるわけではない。ひょっとしたら、最後のチャンスかもしれない。
アドバイスカードは「仕事師」。会いに行くなら、自分の仕事や、母や妹の予定との調整が必要になる。T氏は、手際よく準備を進めていこうと決意した。「仕事師」カードはT氏のソウルカードでもあるので、タロットの助言はずしりと響いた。今日の自分を振り返った時、祖母の存在はあまりにも大きい。可愛がってもらった孫なのだから、コロナ禍であっても、できることはしていこうと、思いを新たにした。
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