Q
Sさんは、趣味と健康増進のため、1年半ほど前に区の体験教室で、弓道を始めた。Sさんにとっては全く未知の世界だったが、若い頃にやっていた友人に、「絶対気に入るから大丈夫よ!あなたにピッタリだと思うわ!」と誘われ、ともかくも始めた。体験教室が終わってからは、指導講師が所属する道場に、友人と一緒に通うことにし、指導を受けていた。その頃は、仲間も多く、和気あいあいと稽古に励んでいた。しかし、コロナ禍の問題が起こってから、教室は長期間お休みになり、様子は一変してしまった。昨年秋から初心者への指導が再開されたものの、参加者はごくわずか。熱心に自分を引っ張ってくれた友人も体調不良で、欠席が続いている。Sさんは、開始年齢が遅く稽古時間が少ないことから、初心者レベルで停滞したままである。続ける意思はあるものの、自分のレベルを考えると、この先本当にやって行けるのかと不安にもなる。新年を機に、タロットに、稽古に通う心構えの助言を仰ぐことにした。
I・Sさん 50代 東京
A
(1)現状
現状 |
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①現状に出たのは「愚者」である。Sさんは、これが本来あるべき自分の姿だと思った。愚者は、希望に溢れる明るい表情で、上の方を見つめている。現実の自分はなかなか上達せず、いつのまにか重苦しい気持ちになっている。カードと向き合っていると、愚者が、「上達しないからと言って、落ち込んで下を向いていてはいけないよ。いつも注意ばかり受けるからと言って、投げ出してはいけないよ。どんな時も、上を向いて、大きな気持ちでやるといいよ」と語りかけてくる。Sさんも、愚者と対話を続けるうちに、参加者の少なさや自分の技量の未熟さにとらわれていた自分が、窮屈に思えてきた。もっとおおらかでいいのだ。
(2)経緯
経緯 |
現状 |
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②経緯は「恋人」である。天使が弓を持って矢を放とうとしている様子から、まさに弓道場の光景が浮かぶ。振り返れば、参加者が少なかったため、初心者は先生方から1対1か1対2で、非常に密度の濃い指導を受けることができた。Sさんも、この時の指導で、はっと気づけたことがたくさんある。また、普段とは違う交流もできた。改めて、カードの絵柄の通りだったと思う。
(3)展望
③展望は「皇帝」。Sさんは、カードを見るなり、道場の指導の中心を担う先生を思った。先生はこの道50年。いつ引退されてもおかしくない年齢でいらっしゃるが、道を究めてこられた方だけあって、指導者としての力量があり、参加者(生徒)の一つ一つの所作や、道具の扱い方や礼儀にも非常に厳しい。Sさんだけでなく、他の生徒さんも、しょっちゅう叱責を受ける。Sさん自身、よく落ち込むけれど、カードは、先生がSさんをしっかり見守っていてくださる様子を示唆している。きっと、先生は、Sさんの上達が遅いことよりも、Sさんが意欲的に稽古に取り組んでいくことを願っていらっしゃるのだろう。だったら、とにかく通うことだ。後ろ向きな気持ちを引きずってはいけないと思えた。
アドバイスカードは「運命の輪」。波の上で回り続ける輪を見て、Sさんは、道場での自分の稽古の出来栄えに一喜一憂しないで続ける大切さを痛感した。自分の上達度は、自分ではなかなか分からないもの。忍耐強く指導してくださる先生方や面倒見のよい先輩方がいてくださるのだから、大きな船に乗ったつもりでやって行けばいい。そう思うと、心が本当に軽くなった。
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