Q
家庭の事情や長年の体調不良で、何かを学びたくても学ぶことができなかった。やっと少し動けるようになり、自分の時間が取れそうになった今、これまで何もできなかった反動からか、あれもこれも学びたいと気持ちがどんどん膨れ上がっている。家族の理解があり体力や時間が許すなら、自分の気持ちが望むままに積極的にやっていいのか、あるいは、自分の気持ちを抑えて、少しずつ学んでいった方がいいのか?タロットに相談することにした。
A・Yさん 50代 東京
A
(1)現状
現状 |
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①現状には「力」が逆向きで出た。Yさんは、蜂を見ている少女の目が気になった。そして、逆向きに出たカードは、まさに今の自分の姿であるように思った。かけがえのない人生を生きていく上で最も大切なものがあるはずなのに、自分にはとらえきれていない。自分はその大切なものを見つけるべく学びたいと願っている。でも、素直に踏み出せないでいる。あまりにも空白期間が長すぎたせいか、あるいは、心の深部に「無理!」とささやく否定的な自分がいるからなのか、いざとなると、学びたい自分にブロックがかかって、次の一歩を踏み出すことができないでいる。我ながら、本当にもどかしい。
(2)経緯
経緯 |
現状 |
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②経緯は「愚者」だ。Yさんは、愚者の視線を見た。愚者には明るい未来が見えているようで、目が輝いている。Yさんも、自分を振り返って、思い当たることがあった。それは、親切な友人が声をかけてくれたおかげで、アロマやマルセイユ・タロットの世界に興味を持つようになったことである。入口に立っただけであるが、その時、Yさんは大いに癒され、生きる力が湧き起こってくるような体験をした。その世界で出会った人々との交流も喜びに満ちたものだった。Yさんは、まったく新しい人生が始まったように感じたのである。
(3)展望
③展望は「教皇」で、Yさんには、教皇の前で教えを乞う人物が自分に見えた。学びたいという気持ちがカードにも強くあらわれ、カードも、Yさんの気持ちを後押ししていると確信できた。俄然やる気が出てきたが、なぜか、教皇は教えを乞うている自分の方ではなく、違う方を見ている。教皇は何を見ているのかしら、何を自分に指し示そうとしているのか、気にもなった。
(4)
④「力」Rの対策カードは「隠者」である。灯りを掲げて、学びたい人がやって来るのを待っている隠者を見て、Yさんは、自分に対しても学びの扉は開かれていると思った。隠者は灯りとともに鍵をもっているので、自分も隠者から、どんな人生の問題も解決できる智慧の鍵を授けていただけるようになりたい。そのためには、心のブロックなどにめげずどんどん探求したほうがいいに違いない。もたもたして灯りを見失ってしまったら、きっと悔やむだろう。
(5)
⑤「隠者」の注目カードは「宙吊り」。Yさんは逆さになった人物の足を縛っているロープの先についている天球に目を留めた。「愚者」のカードにも、愚者の足元に天球があり、親縁している。天球からは、宇宙大の壮大なドラマがイメージされる。天球の視点から、自分の人生を眺め、どんなドラマを繰り広げて来たのかを見るようになれたら、どんなに素晴らしいことか。今の小さな自分に閉じ込められた生き方も、がらりと変わってくるだろう。これまでの人生で感じていた「数多くの何故?」の答えも見つかりそうだ。Yさんは、自分が学びたいのはこれだ!と思った。
(6)
⑥「教皇」の注目カード「仕事師」では、仕事師がかぶっている帽子に目が行った。帽子の形は無限記号をかたどっているので、ここでも、永続性・普遍性とつながる魂の学びを示唆している。展望に「教皇」カードが出た時は、教皇の視線が気になり、実は、教皇は自分の方を見てくれていないという残念な気持ちもあったが、注目カードの「仕事師」とあわせて見て、そうではないことに気づいた。教皇の視線の先には、さまざまな道具が並べられた仕事師の机がある。それは、きっとYさんがこれから学びたいことの数々を表しているのだろう。教皇は、自分の将来の姿に注目し、いろいろ身につけなさいと助言してくれているのではないかと思い至って、感謝の気持ちに変わった。Yさんは、勇気づけられた。あれこれ積極的に取り組んでいいのだ。
アドバイスカードは「神の家」。Yさんは、神の家のレンガのように、一つ一つ積み上げていけば、自分の人生を築き上げることができると思った。喜びが爆発して逆立ちをしている人を見て、学びたい気持ちを抑えずに、その気持ちに素直になることに迷いがなくなった。タロットを展開したことで、もやもやが吹っ切れた。
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