Q
I氏は、これまで、仲の良い友人と一緒に伊勢神宮に参詣することが多かった。お互いにコロナ禍で仕事のやりくりに忙しかったが、友人が久しぶりに、近々伊勢神宮に一緒に行かないかと、I氏に声をかけてくれた。いつもなら、喜んですぐに予定を組み、一緒にお参りをするのだが、今回はなかなか心が決まらない。今回に限り、できれば一人で行きたいという気持ちが芽生えてきたのである。友人とI氏は同じ業界の仲間なので、一緒なら、仕事の話をしながらお参りに行くことになる。しかし、I氏が勤める会社は、近年、経営環境が一段と厳しくなり、I氏もこれまでにない辛さを感じている。ここで何とか自分を立て直すには、一人で行って、お参りに集中したほうがいいのではないかと思えてきたのである。どうするのがよいか、タロットに相談することにした。
T・I氏 埼玉 40代
A
(1)現状
現状 |
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①現状には、「皇帝」Rが出た。I氏は、今の自分であるとすぐにわかった。今回は一人で行きたいという気持ちが芽生えたものの、いざとなると話し出せない自分。長年の友人なので、一緒に行くのを断るとがっかりさせてしまうのではないかなどと、気を回して言いそびれている。逆向きカードが示すように、自分の立て直しがかかっているこんな大事な時に、あれこれ気にして決断できないなんて、本当に課題だと思った。
(2)経緯
経緯 |
現状 |
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②経緯は「星」Rである。I氏は、沐浴する姿を見て、これまで、友人と連れ立ってお参りしていた時のことを思い出した。仕事の話やたわいない話をしているうちに気が緩み、肝心のお参りそのものには十分集中できなかったと、後で反省することが多かった。カードの逆向きは、図星であると思った。
(3)展望
③展望に出たのは「審判」である。I氏には、ラッパを吹く天使が、「一人でいらっしゃい」と促しているように見えた。そうすることで、自分も、暗がりから脱出した空色の人物のように、心身が洗い清められて自分を立て直せると思えた。
(4)
④「皇帝」Rの対策カードは「隠者」である。現実の世界で活動する皇帝に対し、隠者は霊的な世界で探求をしている人物であることに、I氏は、はっとした。目先の現実的なことに振り回され、自分の中の「隠者」のあり方を見失いかけていた。I氏は、一人で伊勢神宮にお参りをして、自分の求道心を今一度掘り起こすこと、そしてもう一度、人生を照らす灯りを取り戻すことが、今の自分には必要であると確信した。
(5)
⑤「隠者」の注目カード兼「「星」Rの対策カードは、「神の家」。この建物は伊勢神宮そのものに違いない。新たな息吹を吹き込まれ、ご加護を授かることができるよう、真摯にお参りすることが大切であると思った。
アドバイスカードは「太陽」である。I氏は、左側の人物が日常の自分、右側の人物が本来の自分であると思った。自分を立て直すことは、本来の自分が日常の自分を受け入れること。それには、一人でお参りして非日常の空間に自分を置くほうが、本来の自分を取り戻せると、心から納得できた。友人にその旨を伝え、できるだけ早いうちに実行しようと心が決まった。
(*後日談 タロットで心が決まったI氏は、さっそく実行した。前日から伊勢神宮にお参りに行ける高揚感で幸せな気持ちになれ、当日は、今までにないほどの清々しさで、まさに洗い清められ生まれ変わったような歓びがあり、こんな充実したお参りはなかったとのこと。これを機会に、もう一度頑張ってみようと、心から思えるようになったそうだ。)
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