Q
Hさんは、子どものころから続く生きにくさを解消するために、自分にできることは何かを知りたくて、精神的な学びをしてきた。そして、最近になってやっと、ずっと取り組んできたこの問題が解決したと思えるようになった。焦ったり落ち込んだりもしたが、今では、自分が長い間探し求めてきたものを確かにつかむことができたと言い切れる自分がいる。ただ、生きにくさを解消できても、生きることに対してのネガティブさを解消するには、まだ時間がかかりそうに思えた。そこで、前向きに生きるのに、今の自分は何をするといいのか、カードに尋ねることにした。
Y・Hさん 50代 神奈川
A
(1)現状
現状 |
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①現状には「節制」Rが出た。Hさんは、壺を持つ天使は自分であると思った。壺の水は、自身の意識、心の持ち方や考え方の変容をあらわしていると感じた。少しずつ少しずつ確実に、やっとの思いで今の自分になったのに、水を灌ぐことに集中せず、「私は何もない、何も持っていない、生産性もない」といったネガティブな感情が、つい心をかき乱す。そんな状態で、戦争のニュースなどを見ていたりすると、ますますネガティブな想いにとらわれてしまうのである。Hさんは、カードには、肯定的な気持ちが流れない苦しさがよくあらわれていると思った。
(2)経緯
経緯 |
現状 |
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②経緯は「世界」R。長らく家に籠っていた自分に見えた。数年前の病気以降、Hさんは療養しながらほとんど家で過ごしたが、そろそろ動き出そうと思った矢先に、コロナ禍に見舞われた。外出自粛で心も体も縮こまり、世間から隔離したような生活になってしまったのである。気持が萎え、重苦しい日々が続いた。そんな経緯の状況が、現状に及んでいることがよくわかる。
(3)展望
③展望に出たのは「戦車」Rである。戦車が勢い余って転倒している。急ぎすぎるからだ。Hさんは、自分のせっかちさをカードが指摘していると思った。思い返せば、生きやすく感じられるようになったのは、問題に取り組んで何年も経ってからだ。今、解決しようと思っている課題も、きっと同じことが言えるに違いない。カードからは、「せっかちはいけません。空回りして、気持ちがますます辛くなりますよ。」の声が聞こえてくるようだ。Hさんも自覚があるだけに、その声には説得力を感じた。
(4)
④「節制」Rの対策カードは「星」である。Hさんは、自然に親しみ、ゆったりと過ごしている女性を見て、最近、ソロハイキングを始めてみようかなと考えていたことに気づき、はっとした。「星」カードの女性のように、自然の中に身を置けば、息苦しさから解放されていくのではないかと思えてきた。
(5)
⑤「星」の注目カード兼「世界」Rの対策カード「愚者」は、まさにソロハイキングに行く出で立ちである。「世界」Rと「愚者」は、卵で親縁しているので、ソロハイキングを始めることは、新たな可能性を開いてくれるに違いない。
(6)
⑥「戦車」Rの注目カードは「神の家」Rとなった。Hさんは、建物が天から戴こうとしている王冠と、右上方から建物に降り注ぎ込まんとするエネルギーのようなものに注目した。Hさんは、時間をかけて積み上げられたしっかりした建物になっていなければ、天からは何も降りてこないと思った。「戦車」Rに引き続き、性急に目に見える結果を出すことばかりにとらわれるのではなく、じっくり時間をかけて手堅く取り組みことが必要であると痛感した。
(7)
⑦「戦車」Rの対策カードには、絵柄が全く対照的な「宙吊り」が出た。早く早くとせっかちに答えを求めないで、落ち着くこと。心を静かにして、内側の軸をしっかり持つことだ。いつもながらの自分の課題であるだけに、カードのメッセージは心に響いた。「戦車」Rと「宙吊り」も、卵で親縁しているので、自分の課題にしっかり向き合っていくなら、新たな可能性が生まれることが示唆されている。これだけでも心強い後押しだと思った。
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経緯 |
現状 |
展望 |
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⑧「神の家」Rの対策カードは「皇帝」である。「宙吊り」と「皇帝」は足の形が木星記号で親縁、卵でも親縁している。Hさんは、焦らず、結果をすぐ求めず、おおらかな気持ちで実践すること、卵が孵ることは、機が熟すのを待つことでもあるので、よき可能性を現実化するためにも、焦らないことを肝に銘じようと思った。
アドバイスカードは「審判」である。空色の人物が拍手で迎えられている。Hさんは、その空色の人物こそ、暗い迷路から出て、前半の人生とは違う人生が見え始めた自分であると思った。今回、展開したカードの中には卵が書かれているものが多く、機が熟せば自然とこうなるよ、と希望をもらえたことで、焦らずやっていこうと思った。カードには山も描かれているので、まずは、ソロハイキングから始めるつもりである。
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