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イシス学院は、カバラー、タロット、アストロロジー、アロマテラピーという形で現代に伝わる古代密儀の伝統を学ぶ魂の学校です。

第406回 母には最大限尽くしてきた。自分の今後を考えてよいか。

  Q

故郷で、ずっと元気に1人暮らしをしてきた母が、コロナ禍直前に自宅で倒れた。離れて暮らす1人娘のTさんにできることは限られていたので、それを機に、母には施設で暮らしてもらうことにした。最初は集団生活に馴染めず大騒ぎだったが、施設の職員の献身的な協力のおかげで環境に慣れ、毎日精力的に歩き、快活な生活をしていた。ところが、今年の春先に、2回入退院を経験してからは、脚の痛みが出て歩けなくなり、Tさんは、元気ではあるが、介護度が進んだ母の姿を感じるようになった。年齢も84歳となり、老いは確実に母のところにやってきている。かつて、Tさんにとっての母は、気が強く絶対的な存在で、何か問題が起こると、何よりもまず母のことを最優先して駆けつけなければならなかった。しかし、これからは、母が施設で楽しく生活できるよう励ましながらも静かに見守ることになりそうだ。そろそろ自分も、今後の人生を真剣に考える時ではないかと思うようになり、これでいいのか、タロットの助言を求めることにした。

                                                                                                                                                                                                                              E・Tさん 50代 東京

 

A

(1)現状
  現状
①現状に出たのは「審判」Rだった。Tさんは、真っ先に天使に目が行ったが、逆向きで出たことにショックを受けた。迷いを決意にしたくて、タロットを展開したのに、自分には天使の声が聞こえていない? 天使の声を聞く耳がないのか? と思うと、悲しくなってしまったのだ。でも、タロットにそう言われて、改めて自分を見ると、確かに、現実の自分は迷いが多く、いつも心の中には、母や実家の問題がのしかかって追い立てられるように過ごしてきたので、心が静まっていない。今も、人生の新たなステージを迎えているように感じるだけで心の準備ができていない。だから、やはり天使の声が聞こえていなくても、当然かもしれない。

(2)経緯
  経緯   現状
②経緯は「恋人」である。Tさんは、すぐに真ん中の人物が自分であるとわかった。 母が入院したり、施設に入ったりした際には、実に沢山の人の助言や献身に助けられてきた。また、Tさん自身も、できる限りの努力をしてきたので、正立カードには大いに納得。つくづく自分はよき人たちに恵まれたと思う。

(3)展望
   経緯    現状    展望
③展望は「神の家」である。がっしりした建物は、Tさんの実家によく似ている。敷地内には父が行っていた家業の珠算教室も残っているので、カードは、父が築き上げた家業もあらわしているのかもしれない。Tさんは、ひっくり返った人に目を留めて、この人物は、自分であると思った。父が早くに亡くなり、その後、実家と家業をしっかり守ってきた母も晩年を迎えつつある。Tさんは、大学合格以来、実家を離れ、父母とは全く違う道を歩んできたが、正立で出たこのカードの絵柄を見て、自分の道をそのまま進んでいいのだと確信が持てた。自分が自ら学び、身に着けてきたことを活かしていくのが、自分には一番ふさわしいのだろう。

(4)
   経緯    現状    展望
     (4)
④「審判」Rの対策カードは「教皇」で、Tさんは、20年以上前に亡くなった父を思い出した。まるで父が母とTさんに語りかけているような絵柄だ。父はTさんの良き理解者だった。入退院を繰り返しながらも、子どもの頃から母と反りが合わなかったTさんの気持ちを思いやり、子どもに多くを求めて譲らない母との間に入ってくれた。そして、Tさんには、「自分の人生を生きなさい」といつも後押ししてくれたのである。父のことを考えると、良き思い出が次々に出てきて心が和んでくる。せわしない心を静め、天使の声を聞き取るには、まず父の教えを思い出すことから始めるのがよいと気づいた。

(5)
   経緯    現状    展望
   
      (4)      (5)
⑤「教皇」の注目カードは「力」である。少女はTさん自身である。グノーシス(叡智)を象徴する蜂を忘れなければ、人生後半の旅は大丈夫であると、カードが語っている。

(6)
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      (4)      (5)       (6)
⑥「力」の注目カードは「愚者」で、蜂で親縁している。蜂に導かれた旅なら実り豊かになり、蜂を忘れると、天界からの声が聞こえなくなり、不毛な旅になってしまうのだろう。 Tさんは、蜂(グノーシス)を絶対に忘れてはならないと思った。

(7)
   経緯    現状    展望
   
      (4)      (5)       (6)      (7)
⑦「愚者」の注目カードは「仕事師」。テーブルには四大を象徴するいろいろなものがある。これらは、自分の経験や仕事で得た様々な技量や知識をあらわしているのではないか。「愚者」と「仕事師」が見つめ合っていることから、グノーシスの導きのもとに、自分が修得してきたことを活かすなら、今後、やりがいのある自分自身の人生が開けると思った。

アドバイスカード は現状と同じ「審判」である。空色の人物に注目したTさんは、父親から受けた教えを思い出しながら、徐々に心を解き放っていこうと思った。優しかった父のおかげもあって、小さい頃から、どんな事があっても、とにかく明るく生きようと思ってきた。でも、実際は、思うように行かない事が多く、いつからか、明るく生きることを忘れ、窮屈でせかせかとした自分になってしまった。これを機に、まず、かつての自分を取り戻すことだ。そうすれば、天からの働きかけと呼応して、今後の人生ですべきことがおのずと見えてくると確信できた。

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