Q
W氏は美容師をしている。今はある店舗に社員として勤めているが、最近、社長から「君にその店舗を任せたい。オーナーとして頑張ってみないか。」と打診された。W氏は感激して、社長の期待に応えるつもりでいたところ、今度は、親しい友人が、「うちの会社で新しい店舗を出すから、店長としてやってみないか。」と、W氏に誘いの話を持ってきた。律儀な性格のW氏は、美容師としての自分を育ててくれた今の会社に恩義を感じ、今後の道も決めていたが、親友の思いやりも強く感じられて、すんなり断り切れないでいる。心を整理し、すっきりした気持ちで次に進むためにタロットを展開することにした。
I・W氏 30代 東京
A
(1)現状
現状 |
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①現状には「月」が逆向きで出た。W氏には、この絵柄が示唆する光景がすぐに浮かんだ。最近のW氏が帰宅して妻と話すことは、仕事の話ばかり。友人からの誘い話をどうするか、断るべきだと思うのだけれど・・・、と、2人で延々と話し続けている光景である。W氏は今勤める美容院の社長や上司への感謝の気持ちを強く持っているのだが、職業柄、情も細やかなせいか、気を配ることを大切に思うあまり、配りすぎて自分が見えなくなってしまうことがある。W氏は、まさに今の自分がそうだと思った。
(2)経緯
経緯 |
現状 |
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②経緯に出た「女帝」は、W氏の上司の美容師である。新人の頃、お世話になった女性上司で、一人前の美容師になるのに必要な心構えや技量を手ほどきしてくれたW氏の恩人である。W氏が今日あるのは、会社の社長の取り立てのおかげもあるが、現場の上司の指導あってこそであると、改めて思い返した。
(3)展望
③展望の「審判」では、天使が吹くラッパが目に飛び込んできた。W氏は、これは今勤める美容院の社長からの知らせに違いないと思った。そして、空色の人物は、社長の提案にしっかり応える自分の姿そのものに見えた。
(4)
④「月」Rの対策カードは「13」。W氏は、つい情に流されて、友人からの誘いに戸惑いを感じていたが、心のもやもやはバッサリ断ち切らなければならないと痛感した。人生の大切な決断に情を絡ませてはいけないことに気づいたのだ。
(5)
⑤「13」の注目カードは「運命の輪」で、回る輪に着目したW氏は、今、仕事が波に乗っているのだから、集中すべきは今いるこの職場であると確信できた。やはり社長の抜擢に応えるのが最善の道なのだ。
アドバイスカードは「太陽」。「太陽」に描かれる2人は友人のようにも見えるが、描き方の違いが目についた。W氏には、手を差し伸べ応援する人物(社長)と応援を受けながら期待に応え成長しようとする人物(自分)に見えた。2人ともレンガの中にいるので、社内の人間同士とも言える。W氏は、この展開ですっきりと決断できた。早速、友人からの誘いは断り、オーナーになる目標に向けて、気持ちを新たに踏み出すことにした。
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