Q
Mさんは3人兄弟の真ん中で、兄と妹がいる。兄はすぐそばで母と一緒に暮らし、妹は他県で一人暮らしをしている。お互いに大人になり、それぞれ別の業界の仕事につき、自分の人生を生きるようになると、いろいろな違いが出てくる。久しぶりに3人が実家に集まる機会は貴重なのに、些細なことが原因で気まずくなってしまうこともある。つい先日も、兄と妹がお金の絡む話をしていてぎくしゃくしかけたが、Mさんが間に入って何とか納まったことがあった。Mさんは、このときの自分のふるまいを振り返って、心の勉強を長くしてきた甲斐があったとしみじみ思うと同時に、兄と妹の関係がよりよいものとなっていくのに、今の自分にできることは何かあるか、タロットに助言を求めたいと思った。
J・Mさん 50代 長野
A
(1)現状
現状 |
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①現状に出たのは「世界」Rである。Mさんには、中央の人物が妹であるとすぐに分かった。妹は子どもの頃、末っ子で体が弱かったせいか、周囲の愛情を一身に集め、とても大事にされてきた、というより甘やかされて育ってきた。そのため、大人になっても自分本位で、わがままが治らない。周囲に迷惑をかけたり、顰蹙(ひんしゅく)を買ったりしているが、本人はお構いなしでいる。絵柄には、その様子がよくあらわれている。
(2)経緯
経緯 |
現状 |
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②経緯は「力」Rで、Mさんは兄であると思った。現状の「世界」R(妹)に背を向けている様子が、兄と妹との関係をよくあらわしている。兄は、問題を抱えた妹が援助を求めてきたとき、兄としてできるだけの手を差し伸べたのに、妹はその時に自分で決めた兄との約束を守らない。兄に申し訳ないと思う気持ちもあまりない様子。兄は、そのことにショックと怒りを感じているようだ。Mさんはその場に同席していたので、妹に対する兄の気持ちはよく理解できた。兄は、自分の気持ちを口にしない性格なので、なおさら兄の心の繊細な部分が受けた心理的損傷は、外から見るよりずっと深いように、Mさんには感じられた。
(3)展望
③展望は「悪魔」が出た。Mさんたち3人である。Mさんは、兄妹それぞれと、それなりの関係はできているので、中央の悪魔がMさん、小悪魔たちが兄と妹だとわかる。Mさんは、しばらく兄妹の間を取り持つ位置にいるのがよいと思った。
(4)
④「世界」Rの対策カードは「正義」で、感情を交えず冷静に事態を直視する人物が描かれている。Mさんは、わがままで奔放な妹に対して自分の取るべき姿勢はこれだと思った。以前は、姉として、妹のすることに呆れたり苛立ったりしたこともあるが、心の勉強を積み上げてきた今は、「正義」のような振る舞いが相応しいと納得できた。
(5)
⑤「力」Rの注目カードは「女帝」。Mさんだ。ゆったりと構え、遠くから兄や妹を見守っている。目の色も通常とは違うので、目の前で繰り広げられることに振り回されることなく、明るい未来像を見るつもりで、見守るのがいいと気づいた。
(6)
⑥「力」Rの対策カードは「宙吊り」が出た。手を後ろにしてじっとしている姿から、Mさんは、兄のために何かをするのではなく、ここでも見守ることが大切であると思った。きっと関心を寄せながら、手を出さないことが最善の策なのだ。
アドバイスカードは「女帝」で、展開にも、Mさんをあらわすカードとして出ていた。Mさんは、女帝のように落ち着き、心の目が曇らないよう精進しながら、兄と妹を見守っていこうと思った。タロットを展開したことで、Mさんは心が軽くなり、今後に希望が持てるようになった。
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