Q
A氏が勤務する会社は、東京に本社を構えているが、地方都市の中心街にいくつか店舗を持っている。A氏は、普段本社勤務であるが、毎年、各店舗でセールやイベントが開催される時には、本社からの応援としてよく派遣される。A氏にとって、それぞれ地方色のある各店舗で従業員と一緒に仕事ができるのはありがたいことだと思っている。出張前後の空き時間を利用して景勝地を訪問できることもご褒美のように感じられ、各地への出張は全然苦にならない。でも、今年は勝手が違う。今夏の厳しい暑さの中、大変忙しかったせいか、今も体は重く、心もすっきりしない。そんな中、近々地方出張が控え、その後も予定がぎっしりだ。いつものA氏なら予定をしっかりこなして帰京するが、今回ばかりは、現場に支障がなければ、店長に早めに切り上げさせてもらう相談をしようかとの思いがちらつく。出張先でどうするのがよいか、タロットに助言を求めることにした。
H・A氏 40代 神奈川
A
(1)現状
現状 |
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①現状に出たのは「正義」Rである。A氏は、自分の心がよくあらわれていると思った。天秤と大きな剣は、これまで、疲れていてもすべきことはしっかりやってきた自分と、今回の出張の後も続く仕事をすべてやり遂げるには、ここでどうしても自己コントロールが必要だと思う自分がせめぎ合って、どうにも決められないのである。
(2)経緯
経緯 |
現状 |
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②経緯は「力」である。A氏は、本社以外の店舗にいる人たちと一緒に働く機会が好きで、出張先が決まるとその店舗の人たちのことを思い浮かべ、アイデアを練ったり準備をしたりする。今回の出張でも、まさに「力」の絵柄通り、自分なりに精一杯行っていると言える。
(3)展望
③展望に出た「皇帝」は、出張先の店舗の店長だ。長く店長を任されているだけあって、頼もしく現場のささいなことにも気遣いができる人物である。「皇帝」は「正義」Rをじっと見ていることから、A氏が相談すれば、店長はA氏の心の葛藤や、本社で忙しく働くA氏の大変さを理解してくれそうだ。出張の目的が果たされれば、早めに切り上げることを提案しても、現実的に判断し、四角四面なことは言わないに違いない。
(4)
④「正義」Rの対策カードは「13」で、大きな鎌を持って一掃しているように見える。A氏は、思い切ってバッサリ刈り取る姿を見て、時にはこれくらいメリハリが効いた決断が自分には必要に思った。一旦悩み始めると、自分のこだわりや目先のことが気になってずるずると悩みを引きずってしまう傾向のある自分に、タロットはそれではだめだと言っているようだ。特に、「正義」Rと「13」が刃物で親縁しているので、一層身に染みた。
(5)
⑤「13」の注目カードは「仕事師」。「13」と「仕事師」から「仕事をする時にはメリハリをつけること、仕事上の問題は仕事の中で解決していくこと、自分ひとりの心の問題にしないこと」といった声を、A氏は感じ取った。そうだ、今回の出張は、本社からの現場への応援の位置づけなので、自分の立場は従業員と同じ立場である。何かあったら、率直に店舗の長である店長に相談するのが筋であると思った。
アドバイスカードも「仕事師」。A氏は、組織に所属する中堅社員として、自分の立ち位置を考えながら、しっかり役割を果たしていきたいと思った。忙しく疲れてくると、視野が狭くなり、枝葉にとらわれがちな自分。職場は自分の人間的な器量を磨く場でもあることを肝に銘じて、その場に相応しい判断行動ができるように頑張りたいと思った。
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