Q
S氏の実家には、高齢になった父母と妹が住んでいる。父はきれい好きなので、物は少なく、父の部屋は整理されている。一方、母は小物集めが趣味なので、物が多い。妹は雑貨が好きで、雑貨屋で働いているので、店からもらう物も多く、どんどん増えている。父も母も妹も整理して家の中をすっきりさせたいと言うが、いざ整理を始めるとそれぞれの物にまつわる思い出が蘇ってきて、いつも中断してしまう。押し入れなどにしまってあった物を引っ張り出した状態で、整理を中断するので、家の中にはますます物であふれかえっているように見える。母や妹には中断しないでと言うが、聞き流すばかりで、父は半ば諦めている。長男であるS氏も母や妹の言い分に呆れるが、それでも何とか解決したいと願っている。そこで、タロットに助言を求めることにした。
T・S氏 50代 神奈川
A
(1)現状
現状 |
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①現状に出たのは「教皇」R。S氏は、カードを見るなり、すぐに母や妹に物を捨てるように言っても聞き入れられない父の姿が浮かんだ。父はきれい好きなので、この状況を苦々しく思っているだろう。
(2)経緯
経緯 |
現状 |
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②経緯の「世界」は、たくさんの物に囲まれて喜んでいる母の姿に見える。小物集めが好きな母だから、片付けると言いながら、集めた小物をひとつひとつ手に取るところで終わっているのかもしれない。カードは正立なので、母は大好きな小物に囲まれる満足感の方が大きいようだ。S氏は、現状のカードとの並びを見て、満足する母と呆れる父の様子を目に浮かべた。
(3)展望
③展望の「斎宮」Rも、母の姿に見える。片付けを始め、捨てようと思って手に取っているうちに、懐かしい思い出に浸る母のようだ。作業の手が止まってしまうので、やはり片づけは捗(はかど)らなさそうだ。
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④「教皇」Rの対策カード「月」では、月を見上げる二匹の動物に目が留まった。S氏は自分と母をあらわしていると思った。今は元気な母であるが、高齢なので、いつまで小物集めをして楽しく過ごせるかわからない。「母に何かあったら、母が大切に集めてきた小物をどうすればいいのか。家族ではあるが、母と趣味を共有していないので、どう扱っていいかわからない。粗末に扱うことはできないし、かといってずっと保存するわけにもいかない。・・・」と、S氏の心には、いろいろな思いが錯綜する。長男であるS氏は、母が元気なうちに、小物の整理を含めて、母と話し合うがよいと思った。母の気持ちを汲むためにも必要であるに違いない。
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⑤「世界」の注目カードは「審判」で、さかんに人と人が交流している様子が描かれている。母は小物をたくさん集めてきたが、物そのものが好きというより、物にまつわる思い出が蘇って懐かしがっているようだ。S氏は、単なる物の処分という問題ではないことに気づいた。
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⑥「斎宮」Rの注目カードは「力」Rで、S氏はすぐにわかった。整理ができない妹だ。「斎宮」Rと合わせて、母と妹がお互いに溢れる物を整理するように言い合っている様子。S氏は同居していないが、二人の性格は熟知しているので、察しが付く。母と妹の言い合いでは、やはり問題解決にはつながらないのだろう。
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⑦「斎宮」Rの対策カードは「星」が出た。S氏は、母が物を処分する姿であると思った。絵柄の女性は穏やかで満ち足りた表情をし、自ら進んで壺の中に入っていた水を流しているように見えるので、母が納得して処分しできるよう、心情的なサポートが必要に感じた。これは自分の役割だと思った。
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経緯 |
現状 |
展望 |
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⑧「力」Rの対策カードは「皇帝」で、S氏自身である。皇帝はことを性急に進めないし、物言いもおおらかである。S氏が、この皇帝のように陣頭指揮を取るなら、説得力がありうまくいきそうだ。S氏は、皇帝の絵柄を心に刻んで、行動を起こそうと思った。
アドバイスカードは「恋人」。母、妹と話をしているS氏が描かれている。絵柄は3人とも横並びなので、上から目線から指示を出すのではなく、S氏を中心に目標を共通化し、話し合うのがよいだろう。意思疎通ができたら、S氏が率先して指示を出す。母と妹の間に立って話をまとめることになるが、顔は母(年上の女性)に向けているので、まず高齢の母の気持ちを気遣いながら、母の荷物の整理がスムーズに進むようにするのがよいと思った。
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