Q
Hさんは、ずっと仕事が忙しく、家庭も仕事もひたすら目前のことをこなす日々を送ってきた。あっという間に新年を迎え、久しぶりに家族団欒を楽しんでいるうちに、まもなく11回目の結婚記念日がやってくることを思い、身が引き締まる思いがした。Hさんは、今年の結婚記念日を迎えるにあたり、改めて妻としての心構えや行動を振り返り、夫との関係をより良いものにしていく契機にしたいと思った。そこで、タロットに助言を仰ぐべく、展開することにした。
T・Hさん 40代 神奈川
A
(1)現状
現状 |
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①現状には「審判」が正立で出た。Hさんは、絵柄が状況を見事にあらわしていることに目を見張った。夫婦関係は良好であるものの、仕事や育児に追われる日々でゆっくり夫婦だけの時間が取れていなかったので、結婚記念日は、改めて夫婦の絆を再確認するのにちょうどよい機会なのではないかと思っていたことが、絵柄にそのままあらわれていたからである。カードは正立なので、きっと見直すことで、関係性そのものをより深めていけるだろう。
(2)経緯
経緯 |
現状 |
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②経緯に出たのは「神の家」Rである。Hさんは、思い出すことがあった。コロナ禍以降のここ数年で、夫の仕事が減少してしまい、ついこの間まで、経済的に不安定な状態が続いていたのである。収入が少なくなり、貯金を切り崩さざるを得ない中、一家の大黒柱である夫自身、先行きの不安や心配を感じたり、自信を失って苦しんだりしていたのではないか。Hさんは、自分の仕事の責務と家計を支えることに必死であったが、今更ながら夫の心中を思いやった。
(3)展望
③展望は「愚者」R。Hさんは、まもなく迎える結婚記念日を機に、ここ数年の停滞ムードを解消し、新しいスタートを切りたいと願うが、逸る気持ちが強すぎるのかもしれない。また、夫はフリーランスで仕事をしているので、新しい取引が増えているとはいえ、最初からスムーズにはいかないかもしれない。Hさんは、焦りは禁物であると肝に銘じた。
(4)
④「神の家」Rの対策カードは「仕事師」であった。Hさんには、「仕事師」が、自分の経験やスキルを生かして仕事に取り組んでいる夫の姿に見えた。昨年末から新たな取引先が増えたこともあり、気持ちを新たに前向きに仕事に励み、自信を取り戻すことができるのではないだろうか。Hさんは、仕事に向かう夫を気遣える自分でありたいと思った。
(5)
⑤「仕事師」の注目カードは「力」で、Hさんには、自分のあるべき姿を示唆していると感じられた。仕事や家事、育児に追われる日々に疲れることもあるが、疲れや苛立ちをうまくコントロールして、カードの少女のように真理を探求することを忘れないようにすることが、きっと必要なのだ。
(6)
⑥「愚者」Rの対策カードは「皇帝」である。「皇帝」は自信を持って現場に立つ夫の姿をあらわしている。新しい取引先の信頼を得て、頼りがいのある存在になっていくことがカードを見て感じることができた。Hさんは、焦らず急がず、まず夫を信頼し、夫がかつてのように仕事で成果を出し、本来の輝きを取り戻す後押しになるような雰囲気づくりに努めようと思った。
(7)
⑦「皇帝」の注目カードは「女帝」。「女帝」は「皇帝」とのカップルカードとして、夫婦をあらわすとされているが、皇帝が現実的、物質的な安定を示すとしたら、女帝は内面や精神的な豊かさをあらわしている。Hさんは、今更ながら女帝(=自分)がいかに重要な役割を担っているかを、かみしめる思いがした。そして、見つめ合う2枚のカードから、夫婦のバランスを上手く取りながらお互いを支え合うことの大切さを読み取った。
アドバイスカードは「節制」である。Hさんは、「力」と「女帝」のカードから、仕事や日々の生活と内面の成長の両方を丁寧に向き合っていくことが必要であるとの教訓を得た。今回、タロットを展開して、Hさんは、裏方に徹して夫を支えるこれまでのあり方だけでなく、自分自身が成長することによって、より深く成熟したレベルでお互いを補完し合える関係が築けることに気づいた。タロットからのメッセージは、結婚記念日を迎えるHさん夫婦にとって何よりの贈り物になった。
前回のケーススタディ
(第201回~最新号)
(第82回~第200回)