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イシス学院は、カバラー、タロット、アストロロジー、アロマテラピーという形で現代に伝わる古代密儀の伝統を学ぶ魂の学校です。

第470回 アルバイト講師から、威圧的な塾長への提案の秘訣は何か。

Q

Tさんは、家業がそろばん塾だったので、子供のころから、厳しくスパルタで教えられてきた。その結果、さまざまな栄誉に与り、そろばんを教える技量も身につけることができた。しかし、スパルタ教育の反動のからか、そろばんが好きになれず、成人後は全く違う分野の仕事に進んだ。ところが、父が亡くなり、母も施設に入所し、実家やそろばん教室の片づけをしていくうちに、両親の愛情を感じるようになり、そろばんへの思いも大きく変わっていった。こうした心境の変化があったから、家の近くで、そろばん塾の「講師募集」を見た時、心が動いたのかもしれない。挑戦のつもりの応募だったが、採用してもらえることになった。 70代の塾長はたたきあげで、よい人であるが、とても威圧的である。Tさんは見学していて、「生徒がそろばんを嫌いになってしまわないだろうか、もう少し優しく教えればよいのに」と、心配になってしまった。子供のころの辛い経験があるTさんは、子供がそろばんを好きになるような提案をしようかと思い始めている。どんな伝え方をするとよいのか、タロットの助言を仰ぐことにした。

                                                                                                                                                                                                                               E・Tさん 50代 東京

 

A

(1)現状
  現状
①現状に出たのは「宙吊り」Rである。Tさんのパーソナルカードである。Tさんには、問題にぶつかっても、視点を変えて考えたり、自分の内側をしっかり整えたりするようにすれば、たいていのことは乗り越えられるという自分への信頼がある。普段は、絵柄のようにして乗り切っているが、そろばんに関することになると、幼少期からの記憶がよみがえり、感情が溢れ、冷静でいられなくなる。まさに「宙吊り」の逆向きである。自分でも根が深いと思うが、これが自分の現状であるのはよくわかる。

(2)経緯
  経緯   現状
②経緯は「力」で、この少女はTさん本人である。蜂(グノーシスの象徴)を見ながら、やすやすとライオンを手なずけている様子から、Tさんは両親の手ほどきもあって、自分にはそろばんという稽古事がしっかり身につき、指導に必要な技量も十分あることを確信できた。両親の指導の厳しさに反発していた時には見えなかった蜂(両親の深い思い)が見えるようになったおかげで、そろばんが自分にとってかけがえのないものであることが感じられるようになった。今更ながら、両親に感謝の思いが湧きおこってくる。

(3)展望
   経緯    現状    展望
③展望の「斎宮」では、本に注目した。これは、物心ついた時から習ったそろばんの教本をあらわしていると思った。何十年も前の古い本であるが、そろばんに必要な基本がよくまとめられている貴重な本で、実家の敷地内にあった教室を整理した時にも、この本は大切に思って処分しなかった。Tさんは、もう一度この本を読み、そろばんに必要な知識をわかりやすく伝えられるよう準備することにした。

(4)
   経緯    現状    展望
 
    (4)
④「宙吊り」Rの対策カードは「戦車」が出た。このカードは、Tさんのソウルカードである。Tさんが最初に注目したのは、乗り物の4本の柱と天井を覆う幕で、これらから、塾長への提案は4つに絞り、ストレートな物言いではなく、威圧的な塾長にも聞き届けてもらえるような表現の工夫をしてみようと思った。Tさんは、子供たちがそろばんのよさを感じ取りながら習得していけるよう、できるだけのことをしたいと願っている。この気持ちを持って塾長に提案するなら、わかってくださると思えた。

(5)
   経緯    現状    展望
   
    (5)     (4)
⑤「戦車」の注目カードは「教皇」。そろばん塾の塾長である。塾長は、40年以上この地で、塾を運営されてきたそうだ。Tさんは、「戦車」(自分)と「教皇」(塾長)が向き合っていることに安心した。塾長は、Tさんのそろばんの経歴を見て、信頼してくれたのか、研修等もなく、即戦力として任せようという気持ちもあるようだ。塾長は、案外、聴く耳を持つ人物かもしれない。Tさんは、アルバイト採用なので、できることに限りはあるが、塾生によかれと思うことは提案し、塾の発展に尽くしていこうと思った。

アドバイスカードは「女帝」である。Tさんは、実に久しぶりにそろばんを教えることになり、そろばんの楽しさを再発見した。子供のころは、両親から、スパルタで厳しく仕込まれたため、実力はついたが、そろばんは大嫌いで、そろばんから逃げるような道を歩んできた。ところが、50代になり、親の介護などいろいろな負担から解放され、もう一度自分からそろばんに向き合った時、「こんなに楽しく良いものだった」と感じることができた。今は両親に感謝するばかりだ。そろばんができるしあわせを噛みしめながら、まずはご縁をいただいたそろばん塾でやってみようと思った。そろばんのある第2の人生が始まったのかもしれない。自分が自ら望んで作り上げていくそろばん人生。そろばんの素晴らしさを皆さんと分かち合っていこうと思った。

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