Q. 精密機器の会社に勤めるY氏は、これまで3人の部下を率いる立場だった。ところが、社内の編成が変わり、一気に9人の部下を持つことになった。こうなったのは、Y氏への評価が高いからで、おめでたい出来事なのだが、Y氏は手放しで喜べない。部下が3人だったときも、扱いづらい部下が1人いてずいぶん苦労したが、今度は難しい部下の数も増え、さらには年上の部下も何人かいる。Y氏が感じる重圧は以前の比ではなく、寝ても覚めても考えることは、「上司としていかに部下をまとめあげるか。」である。その秘策をタロットで見ることにした。
(A・Y氏 40代 山梨)
A.(1)
現状 |
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「神の家」Rでは、天から巨大な神のエネルギーが建物に注ぎ込む威力が強くて、人がひっくり返っている。この光景は、まさにY氏が新人事を聞かされたときの衝撃の大きさを物語っている。Y氏はどちらかというと優しく穏やかで、例えば体育会系のリーダーとは対照的な性格である。部下が年上だから、あるいは、ごねるからといって、譲歩しすぎると部下を付け上がらせ、収拾がつかなくなる。自分の性格を押し殺して高圧的に出れば、部下がついて来なくなる。すぐに妙案が思い浮かばないY氏にとっては、これから両肩にのしかかる苦労の方が思いやられ、喜びよりショックの方がずっと大きかったことがわかる。
(2)
経緯 |
現状 |
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経緯はこれまでの状況である。3人の部下のときも苦労した。特に、扱いづらい部下をどう使っていくかには腐心し、Y氏は心が擦り切れる思いをよくしたものだ。上司として、部下に愛情を注ぐことは必要だと思っても、反抗的な部下を前にすると、心にブロックがかかり、素っ気なく接してきた。「星」Rカードは、これまでのY氏の心労をよくあらわしている。Y氏はカードを見て、「本当にこの通りだったなあ」としみじみ思う。
(3)
展望の「悪魔」は、上司と部下が心を一つになり、チームワーク力抜群になった状態をあらわす。今は余裕がなく、どうすればいいのか模索しているが、Y氏が課題をクリアすれば、理想的な関係が作り出せそうである。こうなれば、部下の方が上司に歩み寄ってくれるようになる。小悪魔が手を後ろに引っ込めて、忠誠心をもって悪魔を見上げているように、まず上司の意向を尊重するようになるだろう。部下が自分勝手なことをあれこれ言いたてて上司を困らせることなど、しなくなるにちがいない。
(4)
「神の家」Rの対策カードは「世界」である。「世界」の中央で楽しそうに踊っているのは、部下をまとめ上げるY氏である。中心に立つ者は、心の中でどんなに大変だと思っても、それを部下の前で露わにして弱音を吐いてはいけない。ステップを踏むくらいの心の余裕を持ち、大きな心でどっしり構えている必要がある。心にゆとりができ、顔の表情・仕草もゆったりしてくれば、視野も広まってくる。ひと癖ある部下の中に、これまで見えなかった美点を見つけることもできるようになるだろう。
(5)
「世界」の注目カード兼「星」Rの対策カード「皇帝」も上司としてのあるべき姿をあらわしている。現実レベルで成果を出していかなければならない「皇帝」の指示は具体的で、実践的である。何をすればいいのか明瞭であれば、部下は動きやすい。Y氏も「皇帝」のような指示を出すようにしてはどうか。指示通りに事が運び、成果につながってくると、Y氏の指導力も磨かれる。成果が出れば、部下の士気もあがる。Y氏は、部下がついていきたいと思う「皇帝」になるだろう。
(6)
「皇帝」の注目カードは「教皇」、まさに上司が部下を前に話をする絵柄である。Y氏はこのカードを見てひらめくものがあった。難しい部下は何人かいるが、その中でも、特にY氏が手こずっている年齢差のある二人の座席を向き合わせることを思いついたのだ。二人は年も随分違うが、性格も対照的である。別々だと自己主張が強いが、二人一緒だと相殺され、Y氏は意思疎通を図りやすくなる。
展望の「悪魔」の構図も「教皇」と似通っているので、座席の位置や組み合わせを考えれば、部下の心を掌握し、うまくいくのではないか。カードの絵柄を見ていて、Y氏には大きな希望が見えてきた。
アドバイスカードの「皇帝」には、上司としての振る舞い方のヒントがたくさんある。このヒントを活かせば、きっと今のポストにふさわしい上司になれるだろう。(その後、Y氏はリーディングのアドバイスを、すぐ実行し始めた。思った以上に、よい方向に向かい始めたことで、9人の部下を持つ上司としてうまくやっていけそうな感触を得ることができた。)
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