Q. Tさんが夫とともに地方から東京に出て来た時、荷物は非常に少なかった。ところが、分譲マンションを購入した頃から、家の中の物が急速に増え始めた。今のマンションに住み始めて15年。家の中を見渡すと、余分な物があふれて、せっかくの空間が台無しになっている。Tさんは、夏の休暇を利用して不用品を処分し、すっきりした生活を取り戻したいと願っている。夫も協力するとは言うが、Tさんは懐疑的である。夫は片付けが苦手で、普段、家事はTさん任せだからである。夫が溜め込んだ不用品も多いのだから、Tさんとしてはできる限り夫の協力を得て、スムーズに進めたいと思っている。どこをポイントにするとよいだろうか。
(A・Tさん 60代 埼玉)
A.(1)
現状 |
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現状カード「世界」Rは、家の中の状況そのままである。沢山のものがあふれ、雑然とした家の中。美しい空間の中で気持ちよく暮らしたいと願っているのに、いつの間にか増えた物が部屋の片隅を占有し、生活空間を窮屈にしてしまっている。その真ん中で周囲を見回しながら、Tさんは、こんな状態で人生の晩年を過ごしたくないと思っている。
(2)
経緯 |
現状 |
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「力」の少女がライオンを子猫のようにあやしている様子は、家事を一手に引き受け、切り盛りしてきたTさんのようだ。仕事を持つ身なので、家事にかける時間は限られるが、「力」が正立なので、これまで何とか家の中を整えることはできたようだ。Tさんの努力が報われていることがわかる。
(3)
散らかった家の中をあらわす現状カード「世界」Rの方を向いて、ランプを掲げる「隠者」は、Tさんの夫である。「世界」Rの方を向いているので、今度こそは協力してくれそうだ。しかし、絵柄からすると、小さなランプで一部しか照らしていないので、部分的な協力にとどまりそうである。全面的な協力は期待しない方がいいだろう。夫でないとできない部分を特化して任せるなど、工夫すると上手くいきそうだ。また、「隠者」は、その場に立って指示を待っている様子で描かれているので、夫の自発的行動を当てにするよりは、Tさんが具体的な指示を出した方がいいだろう。自分が興味を持つことには探求心を燃やす「隠者」なので、本人の書棚の整理、処分本の仕分け、本人の趣味の分野の整理をお願いするのはよいアイデアである。
(4)
「世界」Rの対策カードは「恋人」で、二人がこの度の大掃除について、綿密な話し合いをしている。何を処分するのか、それぞれどこを担当するか、処分品の処理はどうするか、など、しっかり話し合っておくことが大切である。話し合いの段階で、双方が納得した上での取捨選択ができていれば、実際の大掃除はスムーズにいくこと、間違いなしである。夫も、自分のすべきことがはっきりしていれば、今までよりは協力してくれるだろう。
アドバイスカードは「太陽」。一致団結して家の中をきれいにする二人である。よく見れば、右側の人物が尻尾をはやした左側の人物を導いている。家事に置いては断然先輩であるTさんが、慣れない夫に手を取って具体的に示しながら優しくリードすれば、うまくいきそうだ。ポイントは、不慣れな相手から如何にやる気を引き出す接し方をするかである。
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