Q.ヒーリングサロンを経営するRさんは、サロンで教室を開いたり個人セッションを行ったり、関連商品の販売を行っている。今春には、Rさん自ら研究開発した新商品を販売する予定である。根っからの職人気質のRさんは、これまで規模を大きくするといったことには関心がなく、質の高い仕事をすることに没頭してきた。広告宣伝は二の次。利益うんぬんより、ともかく仕事の中身第一主義だった。そんな一途さを評価してくださるお客さんのおかげで、これまで何とかやって来られた。頑なに自分のやり方を守るRさんだが、最近は、考え方に変化が起こっている。今度の新商品販売の際には、広告宣伝をやってみようかと思い始めているのだ。今までは「知る人ぞ知る」といった仕事であったが、人々に存在を知っていただく努力をすることも大切な仕事の一部かもしれないと思えるようになったRさんである。タロットにもアドバイスを求めることにした。(R・Sさん 50代 東京)
A.
(1)
現状 |
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「斎宮」はこれまでやってきた自分の仕事を振り返るRさんである。自分の精神世界を大切にし、時には自分の世界に引き籠って、地道に仕事をしてきた様子が浮かび上がる。ヴェールの中にいる姿から、Rさんが広告宣伝は二の次、興味を持ってくれる人だけをクライアントにしてきたことがわかる。カードは正立である。地味ではあるが、自分の中の精神性に適った仕事をして来たことに関して、Rさんは深い満足感を覚えているようである。
(2)
経緯 |
現状 |
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経緯は「女帝」。創造力あふれる女性だ。このカードも、Rさんである。職人気質のRさんは、流行に流されたり、他人の後追いをしたりすることを嫌い、自分で考え自分でアイデアをひねり出すようにしてきた。多大なエネルギーを要し、悪戦苦闘することが多かったが、「女帝」が正立で出ているので、こうした仕事への取り組みは正解だったようだ。
(3)
展望は「悪魔」Rが出た。錬金術の炉の上に立つ「悪魔」は小悪魔を魅了する。これは広告宣伝のことに違いない。広告宣伝を二の次にしてきたRさんにとっては苦手な分野で、課題であることは図星である。かといって、広告業界の常識や先入観にとらわれすぎると、陳腐なものになってしまってしまう。
(4)
「悪魔」Rの対策カードは、「愚者」になった。気張らずに、自由な発想から出発してはどうかとのメッセージ。「愚者」は最初の一歩を踏み出そうとしているので、Rさんも初心に帰り、新商品開発に至るきっかけや動機を取り上げてみるとか、また遠くの一点を見つめる「愚者」のように、自分の夢や理想などをシェアするといった内容を盛り込むことなどが考えられる。
(5)
「愚者」の注目カードは「星」である。「星」の女神は無尽蔵の壷を持ち、泉に注ぎ続ける。職人気質のRさんが、仕事にかける情熱や愛情、献身的思いは本当に強い。これまでは縁のある人に注いできた。新商品の宣伝はこの思いをもっと大勢の人に注ぐ機会とすることができる。思いを注ぐ対象が広がれば広がるほど、Rさんの思いも「星」の壷のように無尽蔵になるだろう。その思いを借り物の言葉でなく自分の心の中にある率直な言葉で表現することが広告宣伝の要めではないだろうか。
展開を見て心の整理がついたRさん。「広告宣伝」という言葉への先入観があって呪縛されていたのかもしれない。原点は自分が一番大切にしてきたことを自分の言葉で語ること。そして、「星」の壷のように注ぐこと。思い切ってやってみよう。
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