Q.金融関係の会社に勤めていたM氏は数年前に独立。サラリーマン時代に培った人脈や力を活かして、よりフリーな立場で翻訳やコンサルタント業務を手掛けてきた。そして、この4月からは、月に一度、友人が副社長を務めるA社の監査役の一人としてA社に出向くことになった。友人の計らいのおかげもあって、この話はM氏にとって朗報で、仕事としては申し分なかった。しかし、実際に始めてみると、やれ打ち合わせだの懇親会だのと、思っていた以上に時間を割かなければならない。ほかの監査役はM氏より年齢もずっと高く、以前からA社にいて互いに馴染みであるが、M氏は新人である。趣味も興味も全然合わない。お酒も弱いM氏には、特に懇親会は本当に苦痛である。近々、また懇親会があるが、気が重い。義務ではないので、いっそのこと懇親会への参加は半分くらいして、適当に休んでしまおうとも思うが、タロットの助言はどうだろうか?(T・M氏 50代 東京)
A.
(1)
現状 |
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薄暗がりの頃合いに、蟹と水滴、その中で向き合う2匹の犬。まさに居酒屋で海鮮料理をつまみながらお酒を飲み、親睦を温めようとしている監査役の人たちの姿が浮かび上がる。
(2)
経緯 |
現状 |
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経緯は「愚者」である。これまでも懇親会への参加は好きではなかった。監査役の仕事を計らってくれた友人への恩義や自分がまったくの新人であるとの思いから、自分を意識的に押し出し、かろうじて何とか参加をこなしてきた次第である。それはまるで愚者が霊性の犬の強力な後押しを受けて、やっと前に一歩踏み出すようなものであった。
(3)
展望は「皇帝」。自ら律し、自ら決断し、行動する人である。「皇帝」は私情に流されたり、私見で決めつけたりしない。どんなことでも大らかな気持ちで挑戦する。背を向けたり、自分の殻に閉じこもったりしない。懇親会にも喜んで積極的に参加し、自分が楽しむというより、自らみんなを楽しませようとする人の姿である。
(4)
「月」Rの対策カードは「神の家」。「月」では、2つだった建物が1つになっている。自分とは気が合わない別の人たちの集まりだと分けてしまうのではなく、だからこそできるだけ交流し、1つにまとまるようにした方がいいとタロットはアドバイスする。年配者が多ければ、懇親会は豊富な人生経験をお聞きできる絶好の機会でもある。「神の家」に描かれる人物は、「月」Rの犬のように向き合っていない。それぞれである。無理にでも相手に話を合わせなければならないとプレッシャーを感じたり、他の人のようにお酒の付き合いがよくないから難しいと思ったりする必要などないのである。「月」Rの犬のように、向き合わなければならないと思ってきたから、懇親会が億劫だったのかもしれない。価値観も生きてきた人生も興味も違う人たちからは、自分にないものを吸収できると思えば、自分の器を広げることができる。
ここまで来て、M氏の気持ちは固まった。もっとこうした機会を大切にしようと肝に銘じた。
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