Q.テレビショッピングや通販などの企業PRを数多く手掛けてきたTさんは、最近ほとほと疲れたと感じている。Tさんの業界では人間関係がものを言うので、これまで誘われるままに人脈を広げ、社交に精を出してきた。これもすべては仕事の展開を狙ってのことだった。競争が激しい業界で一歩抜きん出て成果を上げるためには、ユニークなものに仕上げなければならない。限られた予算でつくる現実の制作現場は、関係者を取りまとめるために気配りすることの連続である。Tさんが社交に奔走してきたのも、そのためであった。企画といっても、実際には関係者の言い分に振り回されながらかろうじて制作にこぎつける始末。もう嫌だと思う。もっと自分らしさを発揮してのびのびと仕事をしたい。どうしたらいいだろうか。(M・Tさん 40代 東京)
A.
(1)
現状 |
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「女帝」は創造力にあふれ、自分からアイデアを打ち出し、自分から積極的に働きかける。企画を手がけるTさんが求める姿は、これである。「本当はこうありたいのに」と叫ぶTさんの心の声でもある。Tさんにとって、今はこのカードの声に耳を傾ける時である。
(2)
経緯 |
現状 |
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経緯は「斎宮」R。仕事のためを思って、誘われるままに人脈を広げ、社交に精を出してきたTさんである。仕事で良好な関係を築くために、とにかく関係者の言い分を飲み込み受け入れてきたTさんである。逆向きなので、要求を聞くばかりの仕事でずいぶん無理があったことがわかる。
(3)
展望は「審判」Rである。「審判」は広告宣伝のカード。まさにTさんが携わる仕事であるが、このままではやりづらくなる。嫌だという気持ちが強すぎると、仕事の関係者とのコミュニケーションにも支障を来たす。自分の使命感も萎え、いい仕事ができなくなってしまうだろう。
(4)
「斎宮」Rの対策カードは「愚者」が出た。受け身で行う仕事から移行しなさいとのメッセージ。初心に立ち返り、自分の仕事にかける夢や理想を今一度確認する必要がある。
(5)
「愚者」の注目カードは「仕事師」。「仕事師」は自分で四大を扱い、自分で意図したものを作り出せる職人である。職人のように一つでも専門的なものを持つことが大切だ。それがあれば、自分のアイデアを企画に反映しやすい。調整に駆けずり回るばかりのこれまでから、制作当事者の自覚が持てるようになる。
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「審判」Rの対策カードは「神の家」である。○○のスペシャリスト!といえるものをしっかり築きあげるとよい。今の業界で自分らしさを発揮して、納得のいく仕事をしていくために、確固たる技量をもつことだ。そのとき、自分の仕事に使命を感じ取れるだろう。
Tさんはこの展開のメッセージの意味をとても深く受け止めている。3月の大震災は、私たちの生き方や考え方に変革を迫った。Tさんの心境の変化もこれと無縁ではない。良き人生を生きるために、もっと地に足をつけて納得のいく仕事をしていきたい。そのチャンスをいただいたのだと思っている。
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