Q.Aさんは大学一年生。通学可能な四年制大学に推薦で易々と合格してしまったせいか、今になって自分の進路に迷っている。大学を決めるとき、将来のことは漠然としか考えていなかった。普通に就職活動して事務系の仕事でも探そう、といった程度だった。両親の意向も尊重した進路決定であったが、大学生活が始まってこのまま進んでしまっていいのだろうかと気持ちが揺らいでいる。高校時代は声優を夢みていたのだ。「いっそのこと大学を辞めて声優の道を志そうか?今ならやり直せる・・・、やり直すなら今しかない・・・この時期を外したらもう無理・・・。」思いが堂々巡りするうちに自分でどうしてよいかわからなくなり、タロットに助言を求めることにした。(K・Aさん
19歳 埼玉)
A.
(1)
現状 |
|
本来なら、「隠者」は明かりを掲げて自分の進むべき道を照らす。しかし、逆向きなのでAさんはその道を見失い、迷いの中にいる。声優になりたい憧れがあるものの、それが自分の進むべき道!と確信を持つには至っていないので、今はただ迷い、立ち尽くすばかりである。
(2)
経緯 |
現状 |
|
|
「斎宮」RはこれまでのAさんの状況である。学業成績もそこそこ優秀だったので、深く悩んだり苦労しなくても与えられるものがあり、スイスイきてしまった。親思いの優しい性格から両親の意向を汲み取って何事も意思決定してきた。振り返ってみると自分の進路や将来を考える上で受身すぎたかなとも思う。声優になる夢もそうだ。確かに高校の学園祭では声優をやって友達が評価してくれた。後押しもしてくれた。でも、肝心のAさんはじっとしているだけで、本気で声優の勉強をすることはなかった。
(3)
「展望」は「宙吊り」が出た。大学を辞めてやり直したほうがいいだろうかとまで思い詰めていたAさんに、カードは落ち着いて事態をよく見なさいと語る。自分の気持ちを極端な考えに追い込んでしまっていたAさん。「宙吊り」の余裕のある顔の表情を見て、冷静さを取り戻す。焦って大学を辞めるべきでないことに納得する。
(4)
「隠者」Rの対策カードは「仕事師」。迷って何もしないのではなく、自分から動くことが大切だ。「仕事師」がテーブルにいろいろなものを並べて試作しようとしているように、Aさんは、声優が夢であるなら、声優になるのに必要なものを自分で整えるようにしたほうがよい。たとえやることが稚拙でも、まずは主体的に動き始めることだ。
(5)
「仕事師」の注目カード兼「斎宮」Rの対策カードは「皇帝」である。これまで受身が多かったAさんに、自分の意志で決断し、自分から行動に移す必要性を伝えている。
(6)
「皇帝」の注目カードは「星」となった。ひざまずいて壷から惜しみなく泉に注ぐ「星」のように、Aさんも声優になるための勉強に自分の情熱を注ぎ込んだらよい。大学を辞めて声優の道に!と思い詰めても、実際にそんな冒険をよしとしないAさんである。であれば、当面は学業と声優の勉強の両立を考えたほうがよい。
(7)
「星」の注目カードは「教皇」である。聞けば、知人の中に声優養成所の研究生になる道もあると教えてくれた人がいるという。養成所を訪問して、信頼のおける人に相談しAさんにぴったりのコースを見つけるとよいだろう。一口に声優といっても、道は多岐にわたる。相談の中で声優になりたいという自分の夢の実現の仕方も明確になるに違いない。
思い詰めていたAさんの気持ちはタロットの展開で落ち着いた。実行はこれからだが、心配していたAさんのお母さんも一安心。先が見えないのに、もう大学を辞める!の一点張りではどうにもならなかったから。
前のケーススタディへ