Q.初詣に出かけ、穏やかな新年を迎えられたことを喜んでいた矢先、取引先の仕事の関係で早急にイギリスに行かなければならなくなった会社経営者のSさん。正月早々あまりに急な話であったが、取引先とのこれまでの関係や今後のことを考えると断る訳にはいかない。一方、当初立てていた予定は大幅に変更しなければならなくなる。Sさんにとっては、取引先との関係も大切だが、スケジュール変更に伴ういくつかの犠牲も心苦しく、海外出張は苦渋の決断であった。イギリスに行くことを了承したものの、心の中はあわただしく落ち着かない。出発までのわずかな時間に、仕事を片付け、留守中の対応策を練り、旅行の準備をしなければならない。帰国後も過密スケジュールだ。Sさんの会社はやっと上向きかけたところなので、今が正念場とばかりに、Sさんは会社のことが気になって仕方がない。もちろんイギリスでの仕事も成果を上げる必要がある。年明けていきなり大仕事となるが、はたして滞りなくやり遂げられるだろうか?(N・Sさん
東京 50代)
A.
(1)
現状 |
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いきなり来た海外出張の話ではあったが、この話は相手方が依頼する形でやってきた。その時、実はSさんも直観的に今までとは違う大きな人生の波がきたのではないかと感じたという。あまりに突然のことだったのであたふたしてしまったが、心の中では、もう一人の自分がその波に乗るべきだとささやいていた。だからこそ思い切って了承したのであるが、Sさんは「運命の輪」が現状に出たのを見て、やっぱりそうなんだと思わず納得する。ありがたいことではあるが、そのために目まぐるしい日々を過ごすことになる。カードを見て、運命の輪にしがみつく動物のようであってはならない、泰然と構えるスフィンクスの用でなければならないと肝に銘じる。
(2)
経緯 |
現状 |
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経緯は「太陽」が出た。これまで、Sさんと取引先の関係はまさに「太陽」の二人であった。良好な関係を築いてきたからこそ、取引先も来てほしいと依頼してきたのであるし、Sさんもその信頼に応えるべく依頼を受けることにしたのだ。スケジュール変更に伴う犠牲は痛かったかもしれないが、取引先との関係を最優先したのは、Sさんにとってベストの決断であったことが分かる。互いの発展に寄与し合える理想的な関係である。
(3)
展望は「宙吊り」である。この人物は悠然として事態をじっくり見極めている。過密スケジュールであっても、気持ちに余裕があれば仕事に追い立てられるとは感じなくなり、結構やり遂げられるものである。余裕がなくなると気持ちばかりが焦るので、やることが雑になりミスも多くなる、するとますます焦る・・・。「宙吊り」のような心持で臨めば大丈夫だ。Sさんが願うように今年の初仕事はうまくいく。
3枚で終わった展開を見て、Sさんは本当に勇気づけられた。海外出張は苦渋の決断であっただけに、気ぜわしさで落ち着かなかったのだ。展開のおかげで冷静さを取り戻すと、同じ事態がまったく違って見えてくる。Sさんは今回の仕事を、卯年にふさわしい飛躍のチャンスにしようと心を切り替えることができた。
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