Q.舞台衣装関連の会社に勤めているNさん。以前は舞台裏の衣装係りを担当し、ハードながらも充実した日々であった。今は内勤となり現場との接点が少なくなった。現場が好きなNさんの夢は、裏方ではなく舞台づくりそのものに積極的に関わることである。このたび友人の手がける舞台演出の手伝いを打診された。ボランティアで行うことになるが、将来につながるのでNさんは快諾した。ボランティアなら、会社の規約にも抵触しない。程なくして、別の知人からも、同じような仕事の手伝いの依頼が来た。こちらもボランティアだ。両方引き受けようと思えばできないことはない。でも、後から来た依頼には、本業で関わっている人がいるのでやりにくい。こちらの依頼は受けたほうがいいだろうか?それとも・・・?(H・Nさん 東京 30代)
A.
(1)
現状 |
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Nさんは自分の置かれている現状を直視している。業界全体が厳しい運営を強いられている。会社の経営状況、社内での自分の立場を考えながら、自分の夢と今の仕事を天秤にかけ、冷静に判断するNさんである。
(2)
経緯 |
現状 |
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経緯は「女帝」。これまで、Nさんは美的センスを発揮してとてもよい仕事をしてきたことがわかる。舞台裏は限られたわずかな時間の中で、舞台進行に必要なことをテキパキこなさなければならない。衣装係りもしかり。Nさんの創造力豊かで手際のよい仕事ぶり、また現場での部下の取りまとめ力は、まさに「女帝」であった。
(3)
展望は「斎宮」Rが出た。後の依頼を受けることは問題と出た。やはりそうなのだ。一つ目の依頼は快諾した。二つ目の依頼が来たときには迷った。それは本業で関わっている人がいるからだ。芸能関係では、他の業種に比べて、仕事と手伝い・奉仕の線引きがあいまいになりやすい。好きだからということで頼まれるままにボランティアを引き受けていると、気がついたら、仕事も限りなくボランティア的にやる羽目になってしまうということになりかねない。Nさんは実際にそうなってしまった人のことを思い出しながら、「斎宮」Rに納得する。
(4)
「斎宮」Rの注目カードは「戦車」Rである。「戦車」は人間界の勝利者。プロ中のプロとも言える人物である。そのプロが逆向きで出た。中途半端にボランティアを引き受けてしまうと、その人たちと本業で仕事をするときに、プロとしてやりづらくなるのではないか。特に、報酬面の交渉では、気勢をそがれるだろう。
(5)
「戦車」Rの注目カードは「世界」となった。最終的には関係者一同収まるところに収まり、Nさんにとって喜ばしい状況が出来上がるとのメッセージである。
(6)
「斎宮」Rの対策カードは「13」である。絵柄を見ればどうすればよいかは一目瞭然。後から受けた依頼は断ったほうがよいことがわかる。しかし、「13」はそこで終わりではなく、そこから再生していくカードでもある。Nさんが個人的に受けた依頼の話ではあるが、別の形で生かす道があれば、これも一案である。
(7)
「13」の注目カードは「神の家」。「神の家」は会社をあらわす。後から来た依頼主は本業での付き合いもあるのだから、Nさんは個人的に処理せず、会社へ話をつなぐようにした方がいい。実は、Nさん自身もこのことは考えないでもなかったことなので、カードの展開を見てすんなり心は決まった。
よかった、こうすればすべてが円満におさまる!「世界」のカードのように。Nさんの一番願うところだ。
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