Q.Oさんには83歳になる父親がいる。病気だった母親を昨年見送り、今、父親は一人暮らしだ。父親からOさんにあれこれ言うことはないが、離れて住むOさんは、やはり父親のことが気になる。以前、父親がふと漏らした「いつかニュージーランドに行きたいなあ」の一言を覚えていて、ある時「そういえばお父さん、ニュージーランドに行きたいって言ってたわねえ」と水を向けると、行きたい気持ちは今でも強いようだ。旅行のパンフレットは集めていながら、自分からは言い出さない。昔は海外旅行にも出かけたのに、母親が病気になってからは旅行どころではなくなっている。父親を気遣うOさんは、「秋か冬に一緒にニュージーランドへ行こう」と切り出そうと思っているが、心の片隅に一抹の不安もある。この旅行はどうだろうか?(M・Oさん、東京、30代)
A.
(1)
現状 |
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年配者の風貌の「教皇」Rは、まさしくOさんの父親である。長年連れ添った妻を亡くした寂しさから気落ちしていることもあるだろう。旅行に行きたい気持ちはあるが、83歳の年齢を考えると子供たちに飛行機で行く旅を自分から言い出せない父親の現状が、逆向きによくあらわれている。
(2)
経緯 |
現状 |
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経緯は「仕事師」Rが出た。自分を充電するためにしばらく前に仕事を辞め、精神世界の勉強を始めたOさん。タロットに自分のこれまでをずばり指摘された思いだ。二枚のカード、「教皇」Rと「仕事師」Rは見つめ合う。仕事を辞めた子供を心配する父親と年老いて一人で暮らす父親を気遣う子供。旅行に行きたいけれど自分から言い出せない父親と自分のほうから切り出したほうがいいのではないかと思いやる子供の姿が浮かび上がる。
(3)
展望は「恋人」。仲良く話し合う姿だ。もちろん旅行について。Oさんには兄さんがいる。このカードには3人の人物が描かれているので、旅行についての話し合いには、兄さんにも加わってもらってはどうか。積極的にコミュニケーションを取り合う関係が、普段は離れていても絆を深めてくれる。昨年旅立った母親も自分亡き後の家族のあり方を見て喜んでくれるに違いない。
(4)
「教皇」Rの対策カードは「太陽」である。冬に行くなら、ニュージーランドは太陽が燦々と照る夏だ。太陽の下で喜びではしゃぐ二人は、Oさんと父親である。不安など吹き飛ばしてバカンスに行ったほうがよいとタロットは言う。
(5)
「仕事師」Rの対策カードには「愚者」が出た。目先のことにとらわれず旅に出なさいとのメッセージだ。確かに83歳という父親の年齢を考えると、今が行くときである。来年以降になれば、海外旅行はどんどん難しくなり、旅行そのものが成立するかどうかわからない。この旅が親孝行できる絶好のチャンスでもある。Oさんにとっては、愚者が犬の後押しを受けて旅に出る姿が、まるで自分のことのように見えてくる。視線の先には吉兆カードの「太陽」だ。思い切って出かけることが二人にとって吉兆になるのだ。
この旅行はとても意味があることを確信できたOさん。自信を持って旅行を切り出せる。
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