Q.Nさんは特許事務所に10年以上勤めてきた。働きやすい職場で対人関係にも恵まれていたが、長女の出産とともに週5日の出勤を週4日に、さらに今年に入ってからは週3日、そしてこの3月で一区切りつけることにした。結婚・出産という人生の大きな出来事を経験する中で、心境に変化が生じ、精神的な勉強がしたくなったのだ。出勤日を減らしたNさんは、4月以降を見据えて、すでにアーユルベーダとタロットを勉強し始めている。新しい世界を学ぶことで心は弾むが、長らく勤めた職場をあと1か月で終えることを思うと感慨深い。悔いなく全うするための心構えをタロットに聞くことにした。(M・Nさん 30代 東京)
A.
(1)
現状 |
|
現状は「戦車」が正立で出た。これまでの会社人生を振り返るNさん。自分なりに頑張ってきたという達成感が溢れている。会社が嫌で辞めるのでもなければ、会社の事情で辞めさせられるのでもない。馭者の堂々とした姿はやるべきことをやって、人生の次のステップに進もうとするNさんそのものである。アーユルベーダやタロットを学び始めて、習い事に夢中になりかけているかもしれないが、出社する最後の日まで「戦車」のように手綱を緩めず、仕事をやり遂げるとよい。そうすれば、充実した思いで勤め上げることができるだろう。
(2)
経緯 |
現状 |
|
|
経緯は「月」である。「月」には2つの建物が描かれている。まるで1つの建物からもう1つの建物に気持ちが移っていく、Nさんの心境の変化をあらわしているようである。長く1つの仕事をやってきたことに満足ではあったが、1つの仕事で終わるのではなく、それとは別の世界を学び、新しいことを仕事にしていくのもいいかなあと、あれこれ夢を見はじめたNさんである。「月」は母性をあらわすが、子育てをする中で、自分の中の女性的な力をもっと発揮できる仕事をしてみたいとか、家でできる仕事がいいという気持ちが芽生えてきたこともある。
(3)
展望は「宙吊り」R。カードの人物は狭い所に自分を押し込め、身動きできなくなっている。Nさんには、この人物が自分のことだとわかる。カードの指摘する問題点が何か、ピンとくるものがあるのだ。職場の雰囲気はよかったので、最後の日が近づくにつれ、達成感の一方で、同僚に会えなくなる寂しさも感じる。仕事を辞めれば、勉強時間がタップリ取れるようになるかわりに、給料は入って来なくなる。自分の蓄えで学費は出すつもりだが限りはある。すでに始めている勉強は面白く、仕事を辞めたらもっと学びたいと思っているが、蓄えだけでちゃんと賄えるだろうかと、辞めた後のことを考えると不安になってしまうのである。勉強することが仕事になるのはずっと先のこと。一度不安になると、不安がどんどん自分をがんじがらめにしてしまう。こんな思いを引きずって、10年以上もお世話になった会社で最後の1ヶ月を過ごすのは、会社の人にも失礼であるし、自分にとってもよくない。
(4)
「宙吊り」Rの対策カードは「正義」が出た。正義の剣は、「宙吊り」にあるロープを切るためのものだろうか。自分の心にわき起こる不安は、「正義」の剣で断ち切りなさいとのメッセージが聞こえるようだ。そして、「正義」のように、自分の置かれている状況を的確に把握し、すべきことをしっかりやろう!とカードは激励する。Nさんは、「正義」のカードを見て、気持ちが引き締まった。辞めた後のことを考えすぎて、社内で浮足立つことのないよう、最後の日まで気持ちを込めて勤め上げようと心が固まった。
(
前のケーススタディへ