Q. Sさんは以前、ヒーリングのセッションを受けて、ストレスで心理的につらかった状態を無事乗り越えることができたことがある。それがきっかけとなって、自分でも勉強したくなり、癒しに関する講座を受講し始めた。タロットに興味を持ったのも、その一環であった。仕事と両立しながら、新しい世界を知ることで充実感があった。しかし、大震災ですべては一変。以前のような状況が取り戻せるようになったのは、今年に入ってからである。最近、自分の勤める会社に新人が入り、Sさんには新人の面倒を見る仕事も増えた。忙しさで悲鳴をあげそうだが、自分の心を救ってくれた心の勉強は止めたくない。ちゃんとうまく両立していけるだろうか。
I・Sさん 50代 宮城
A.(1)
現状 |
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現状は、自分の魂を照らす光「太陽」が逆向きで出た。大震災のダメージから立ち直り、元気に明るく生きて行こうと思っているSさん。そのためには、仕事や生活面だけでなく、自分の精神生活が元気ではつらつとしていることが大切であることは十分わかっている。しかし、カードは逆向きで出たことから、今のSさんは、両者の統合をめざしてがんばっているのだが、仕事が忙しすぎるため、それができずジレンマを感じている。魂が輝いていること、精神生活とこの世の生活の統合を取ること、これがSさんにとって大きな課題となっていることを物語っている。
(2)
経緯 |
現状 |
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経緯の「隠者」Rからも、ランタンを掲げて探求する隠者のように、癒しの勉強をもっと究めたいという思いを持ちながら、十分できなかったSさんの心境が浮かび上がる。震災の余波も大きく、落ち着いて勉強する環境を整えようにも整えられなかった事情もあるだろう。
(3)
展望も「力」のカードが逆向きである。今までの業務に新人の世話が加わり、ますます忙しくなりそうなSさん。必死になってなんとか仕事と勉強をやりこなそうとするが、ライオンを易々と手なずける少女のようにはいかない。逆に、御しがたいライオンに手こずっているようだ。思うようにならないのは、慣れない新人の世話だろうか。
(4)
「太陽」Rの対策カードは、「節制」が出た。Sさんは、このカードを見て、2つの壷で水を移し替えている「節制」のように、続けることが大切であると気づいた。絵柄のように、一滴もこぼさずに移し替えるには、焦らず、ゆっくり、慎重に行う必要がある。振り返ってみれば、「癒し」を早く仕事にしたくて始めた勉強ではなく、自分の成長のためだった。あまりにも仕事が忙しくなったため、心もせかせかし、自分で自分を追いつめていたのかもしれないと反省する。
(5)
「隠者」Rの対策カードは「女帝」で、Sさんはこのカードに、自分のあるべき姿を見る。「女帝」のようにどっしりと構え、将来を見据えて積極的にプランを練っていくことだ。忙しい時こそ、こうあるべきだと痛感する。
(6)
「力」Rの対策カード「悪魔」からは、堂々と2人の小悪魔を従える悪魔の姿が浮かび上がる。Sさんにとって、小悪魔は、仕事と勉強のことである。カードはSさんに、頑張って両立していくよう勧めている。でも、「両立しなければ」と、むきになる必要はない。ゆるく繋がれている小悪魔のように、無理せず、できる範囲で両立を考えればいいのである。
アドバイスカードは「星」。女神が二つの壷を持って両方に情熱を注いでいるように、両立していきなさいとのメッセ―ジである。Sさんは、どんなに忙しくても癒しの勉強は続けたいと思っていたが、実は、両立していけるか不安でもあった。Sさんは展開したカードを見て、勉強を続けていいんだと大いに納得できた。そして、両立はうまくいくと確信できた。もっと肩の力を抜いて、ゆったりした気持ちで頑張っていこうと思った。
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